アイテムボックスで異世界蹂躙~ただし、それ以外のチートはない~

PENGUIN

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第4章

魔王城の中~入口~

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「さて、夜も更けてきたし、とりあえずここで寝よう」

「う……。こんな皆殺しにしたとこでよく平然と野宿しようとするわね」

「いや、野宿はしない」

「え? でもーー」



 俺はアイテムボックスから魔王城を取り出し、中へ入ろうと歩き出す。



「今日はここで寝泊まりする。中へ行くか。レヴ、案内を頼む」

「………………」

「ん? どうした?」

 俺はついて来ないレヴを振り返り見てみる。目を飛び出しそうなくらい大きく開けて口も半開きでなんかアホヅラ晒してた。

「フッ、なにバカみたいな顔してんだよ」

「…………」

「…………ん?」

「…………」

「…………」

「……な--」

「まぁ、いいや」

 反応を待つのが面倒くさくなった俺はレヴをアイテムボックスにしまう。なにか言い始めていたような気がするが気のせいだろう。俺は魔王城の中へ足を進め、扉を開け中へ入る。

 中は天井が高く、石壁と石床に赤いカーペットが敷かれている長い廊下があり、突き当たりには扉がある。灯りは壁に掛かっているランタンの灯と天井のシャンデリア。そして左右には今にも動きだしそうな石像が10個置いてあっ--いや、今、石像があった。

(たしかゴーレムだったか?)

 ゆっくりとぎこちなく動き始めたゴーレムは一体一体が全長4、5メートル程ある巨体の人型の石の塊だ。それぞれが俺に向かって来るが、俺は歩みを止めずに冷静にゴーレムをアイテムボックスに収納し、アイテムを確認する。

(ゴーレム……あー、なるほど、『魔王ゼロが創った物でゼロの指示に従うゴーレム』……か。なら、このままこいつはアイテムボックスの中だな)

 俺は使えないゴミをアイテムボックスの肥やしにすることにし、奥に進んで行く。廊下を半分くらいまで進むと--。



 --ガコッ



 と、足元から音がした。カーペットの下の床が底に沈む感覚と後ろの扉が閉まり、鍵が掛かる音もする。そして石壁の隙間から紫色の煙が出てきた。
 

(!? わかりやす! けど、これマズくね? 毒だろ?)


 俺は息を止めアイテムボックスを前面に展開し、背中をアイテムボックスで弾き前進する。そして廊下を一気に飛び抜け、突き当たりの扉はアイテムボックスで弾き飛ばし勢いよく中に入る。
 俺はこの世界に来てから初めて死の危険を感じた。

「ハァ、ハァ……。危なかったぁ」

(動きの遅そうなゴーレムだったけど普通のやつだったらあの数であの巨体が同時に攻撃してきたら対処は難しいだろうし、あの位置で毒ガスって逃げ場無いだろ)

 城の中に入ったからそろそろレヴに案内して貰おうと思ったが、どうやら悠長にレヴを取り出して状況を説明している暇は無いようだ。


















「あー、シャワー浴びたいだけなんだけどなぁ」


 俺はドラゴンの血を浴びてからまだ全身が真っ赤のままだった。

 
 
 



 
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