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アイテムボックスでダンジョン蹂躙
アイテムボックスでヒロイン登場③~ただし、セリフは「…。え?」で終わる~
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「…。えっ」
目をまん丸と開け、困惑するレヴ。続けて俺は事実を述べる。
「『奴隷の首輪』をお前に装備した。だから、お前は奴隷になった。で、レヴ、お前の主人はこの俺だ。」
フリーズしているようだ。未だ状況を把握できていない。俺は深いため息をつく。
「はあぁ~。…レヴお前に『命令だ』。『直近の記憶を思いだし、それを順に説明せよ』。」
レヴの身体がピクリと反応する。
「!」
そして、瞬きを数回パチクリして、一呼吸置いてから話し出す。
「…確か、私は、ウルヴァルト隊長から、先にあの戦場に、行くよう言われて、先に、着いて、それで…えっと、しばらく人間どもを殺しまわって…それから、えっと…。」
思い出しながらのせいか話が途絶え途絶えになる。
「あ!あいつ!あいつを見つけて…、それで、、、世界が闇に包まれた?え?どういうこと!?そのあと、気づいたらあんたが目の前にいて!?なんか視界が暗転したなぁとか思ったら私があんたの奴隷になったあぁあああ!?」
酷く取り乱し、わめき散らす。首に装備された『奴隷の首輪』を触り、余計うっさくなった。
「命令だ。『ちょっと黙って』。近所迷惑だから。何時だと思ってんの?」
「…!…!!!」
顔を真っ赤にし、口をパクパクさせる。金魚みたい。レヴは俺の後ろにある窓の外を見る。…まだ夕焼けだ。
「ッ!ッ!!!ッ!」
レヴは言葉にならない言葉で抗議してくる。なんかかわいい。掴みかかろうとするが『奴隷の首輪』の効果により、俺にそれ以上近づけない。俺は手で『どうどうどう』のジェスチャーをする。
「!ーっ!!!ッッ!…!」
レヴは地団駄を踏み、俺を睨み付ける。俺はほくそ笑む。レヴは…---。
というやりとりをしばらく続け、俺が癒された後、アイテムボックスに回収する。
翌日。
俺は朝、目が覚め起きる。そして身支度を整え、宿で朝食をとる。昨日見つけた王立図書館へ向かう。
図書館へ行く理由はこの世界の常識を知るためだ。まぁ、『この世界の常識本』ってのが置いてあるわけでもないから『童話』や『子供向けの本』・『なんかしらの図鑑』等を読みに行く。
常識ってのは幼い子供の時に培うものだ。つまり、『童話』や『子供向けの本』というのはこの世界の人達にとっての『教養』になる。そして、幼い時に植え付けられた『教養』は『常識』になる。ゆえにこの本を読む必要がある。
あと、図鑑は前の世界とだいぶ違う生物や植物があるから違いを把握しておきたい。
そんなわけで図書館へ向かっている。俺の向かっている王立図書館はこの国の中で一番大きい図書館らしい。昨日、そこの司書さんと話した。で、そんな解説してる間にその図書館へ着いた。
(やっぱ、見た目からしてもデカいんだよなぁ。)
俺が最初見た時、遠近感を間違えたのかと思う程デカい。自分がミニチュアフィギュアになった気分になる。図書館の中へ入る。
「おはようございます。」
「はい、おはようございます。」
昨日、話をした司書さんに挨拶をする。その後、『童話』置いてある場所を教えてもらい、途中、昼飯を図書館近くで済ませ閉館まで読み過ごした。
---そんな図書館通いも3日も過ぎ、この世界の価値観・常識はなんとなくわかった。価値観は大体俺のいた世界とそう変わらないみたい。それは助かる。俺のいた世界に無い物質も図鑑に乗っていてその価値もなんとなく理解できた。
3日も経てば街中でも変化はある。『戦争が止まってる』だの『戦争がもう終った?』だの人が口々にするようになった。
宿は通いやすい図書館近くの宿に変え、そして今日もまた図書館へ行く。今日はルインが薦めてくれた『冒険譚』を読む。ルインはここの司書さんでこの広い図書館の内部を若いのに良く知っているし、とても本が好きな人だ。きっとこの薦めてくれた本は面白いに違いない。そう思い今日1日読みふける。
---俺は『冒険譚』読み終え、夕飯を食べながら考える。
(俺、トレジャーハンターになりたい!)
俺はこの『冒険譚』に感化された。
(たまにはこう、何かをきっかけに始めるってのも良いだろう。明日冒険者ギルドへ行ってみよう。いやー、楽しみだ。)
俺はウキウキ気分で飯を食い、宿へ戻る。
-『トレジャーハンター』-
トレジャーハンターと呼ばれる人達は冒険者ギルドに所属している人達で、各ダンジョンに眠っているお宝を手に入れたり、ダンジョンモンスターを倒し、魔石を売ることを生業にした人達のことだ。
ダンジョンは世界各地に存在している。ダンジョンという場所は特殊な場所で、お宝やモンスターが再配置されたり、階層ごとに地形が大きく変わったりする。中には物理法則がまったくことなるダンジョンもあったりする。ダンジョンとは、もはや異世界だ。
そして、一貫してダンジョンの内と外で異なる点はダンジョン内のモンスターはダンジョンの外には出られないことだ。厳密に言えば生きられるが長くは生きられない。何故ならダンジョンモンスターは魔石コアをエネルギー源にしている『魔核生物』だからだ。
『魔核生物』の核である魔石コアに魔力を流し続けられなければダンジョンモンスターは消滅し、魔石が残る。その魔石に外部から再度魔力を流してもモンスターは復活しない。魔石に魔力が溜まるだけだ。ただ、その魔石を加工すれば『モンスターだった時の性質を魔石に溜まった魔力を使用し再現できる』ため、魔石は重宝される。
ダンジョン内では高密度の魔力が漂っている。階層の奥に行けば行く程その魔力は濃くなっていく。ただ呼吸するだけ、ただ歩くだけで魔力が蓄積されていく。そこにいる生物・植物・鉱石などの魔力を保有できるものに蓄積される。ダンジョンの外はダンジョン内と比べて魔力は薄い。ダンジョンモンスターが外に出てしまうと徐々に魔力を失い、消滅してしまうほどだ。魔核生物にとっての魔力とは人間に例えるなら血液。人間も血液を徐々に失っていけば死んでしまう。それと同じことだ。
そのため、『あの戦争』に参加しているモンスターはいない。外にいる魔族達だけだ。
---------------
翌朝、冒険者ギルドへ向かう。中に入ると人がごった返していた。
「お?これなんて良さそうじゃないか?」
「あ、みなさん、おはようございまーす!」
「あ、この依頼を受けたいんですが…。」
「あいつまだこねぇのか?今日のクエは護衛依頼だから遅れんなって散々言ったんだけどな。」
「いいんじゃないですかね?さっそくクエスト受けましょうよ。」
「ふあぁ~。ねみぃ。」
「…。と、なっております。」
「おう、はよう。お前いつも朝から元気だな。」
「一応リーダーに聞いてからにしよう。依頼はキープしとこう。」
「あ、この野郎おせぇぞ!」
「はい、今日も依頼頑張って下さいね!」
俺がギルドに入ってすぐ拾った会話の内容はこんな感じだ。他にも大勢の人がいて騒がしい感じだ。
「朝から結構にぎやかだなぁ、ここ。」
冒険者ギルドに入ってすぐの入り口で俺は独り言を呟く。すると近くにいるテーブルにひじをついて手に飲み物を持って、椅子に座っているおっさんが話しかけてきた。
「あんた、王都のギルドは初めてか?」
俺は顔を向ける。
「ここはな、王都の中でも一番活気のあるギルドだ。この朝の時間帯でこんなに人がいるのは王都の中でもここくらいだ。夜になればもっとスゴいがな。ガッハッハッ。」
陽気な説明キャラのおっさんが続けて説明をする。
「あんた、見ない顔だな。その出で立ち…冒険者志望か?なら、登録はあっちだ。登録料に銀貨1枚必要なんだが、持ってるか?…なら、後の細かい説明は受付のねーちゃんに聞きな。」
親切で陽気な説明キャラのおっさんが親切に親指で場所を示してくれた。俺は会釈をして登録場所に向かおうとする。
「精々頑張んな。」
気遣いの出来る親切で陽気な説明キャラのおっさんがハッパをかけてきた。俺は受付に歩きながら片手を振る。中二病が好みそうな仕草《しぐさ》をする。列に並んで順場が回ってきた。
「次の方どうぞー。…本日はどのような用件ですか?」
「トレジャーハンターになるため登録をしたいんだが。」
「はい、ギルドへの冒険者登録ですね。ありがとうございます。…では、こちらの用紙の太い枠内の必須項目をご記入下さい。」
何故だかしれないがこの世界の文字が書ける。用紙に記入し始めた時に、受付の人がある重要なとこを聞いてきた。
「あの、トレジャーハンターになりたいとのことですが、一緒に『ダンジョン』に入るパーティーの方はいらっしゃいますか?」
思わず記入しているペンが止まり、顔を上げる。
「え?えっと…」
「ダンジョンに入る際はパーティーでないといけないんです。厳密にはギルドランクC級以下の冒険者の方は2名以上のパーティーでないと入れない規則になっております。」
俺は動揺が隠せず目を見開く。
「ギルドに登録した際はF級からスタートになりますので、新人冒険者の場合、ダンジョンに入る際、必ずどこかのパーティーに参加するか最初からパーティーでないと入れないんです。」
俺に笑顔で絶望を与えてきやがった受付のお姉さんは説明を続ける。
「郊外にいる魔物を狩ったり、採取したりするのに比べてダンジョンは大変危険で命を落とす方が多い場所ですのでランクの低い方にはあまり行って欲しくないんです。…ただ、『トレジャーハンターになりたい』と言って冒険者になる人が多く、『D級以下の方は入れない』規則だったのを『パーティーならD級以下でも可』、にしたんですよ。パーティーメンバーの宛はありますか?無ければ即席パーティーを組む申請を出しますが…。」
「あ、宛はある。…この用紙持ってってもいい?いいならもう1枚欲しい。もう1人の分も書いて持ってくる。」
「はい、ただ登録にはご本人が来ていただかないといけないので、登録時は本人も連れてきて下さいね。」
「ああ、はい、問題ないです。じゃあ、また来ます。」
「はい、お待ちしております。…次の方ー、どーぞー。」
(---パンナコッタ!じゃなかった。なんてこった。一人じゃ無理なのか…。仕方ない。)
俺は裏路地へ入り、アイテムボックスで空へ飛ぶ。郊外の森まで森まで飛んでいく。
(この辺で良いか。)
森の中の少し開けた場所に着地する。アイテムボックスを使用し、アイテムを取り出す。そして、俺はそのアイテムに向かってこう言った。
「一緒に…トレジャーハンターになろうぜ!」
俺はなんかテンションが高かった。そのアイテムは理解が追い付かず、こう言った。
「…。え?」
目をまん丸と開け、困惑するレヴ。続けて俺は事実を述べる。
「『奴隷の首輪』をお前に装備した。だから、お前は奴隷になった。で、レヴ、お前の主人はこの俺だ。」
フリーズしているようだ。未だ状況を把握できていない。俺は深いため息をつく。
「はあぁ~。…レヴお前に『命令だ』。『直近の記憶を思いだし、それを順に説明せよ』。」
レヴの身体がピクリと反応する。
「!」
そして、瞬きを数回パチクリして、一呼吸置いてから話し出す。
「…確か、私は、ウルヴァルト隊長から、先にあの戦場に、行くよう言われて、先に、着いて、それで…えっと、しばらく人間どもを殺しまわって…それから、えっと…。」
思い出しながらのせいか話が途絶え途絶えになる。
「あ!あいつ!あいつを見つけて…、それで、、、世界が闇に包まれた?え?どういうこと!?そのあと、気づいたらあんたが目の前にいて!?なんか視界が暗転したなぁとか思ったら私があんたの奴隷になったあぁあああ!?」
酷く取り乱し、わめき散らす。首に装備された『奴隷の首輪』を触り、余計うっさくなった。
「命令だ。『ちょっと黙って』。近所迷惑だから。何時だと思ってんの?」
「…!…!!!」
顔を真っ赤にし、口をパクパクさせる。金魚みたい。レヴは俺の後ろにある窓の外を見る。…まだ夕焼けだ。
「ッ!ッ!!!ッ!」
レヴは言葉にならない言葉で抗議してくる。なんかかわいい。掴みかかろうとするが『奴隷の首輪』の効果により、俺にそれ以上近づけない。俺は手で『どうどうどう』のジェスチャーをする。
「!ーっ!!!ッッ!…!」
レヴは地団駄を踏み、俺を睨み付ける。俺はほくそ笑む。レヴは…---。
というやりとりをしばらく続け、俺が癒された後、アイテムボックスに回収する。
翌日。
俺は朝、目が覚め起きる。そして身支度を整え、宿で朝食をとる。昨日見つけた王立図書館へ向かう。
図書館へ行く理由はこの世界の常識を知るためだ。まぁ、『この世界の常識本』ってのが置いてあるわけでもないから『童話』や『子供向けの本』・『なんかしらの図鑑』等を読みに行く。
常識ってのは幼い子供の時に培うものだ。つまり、『童話』や『子供向けの本』というのはこの世界の人達にとっての『教養』になる。そして、幼い時に植え付けられた『教養』は『常識』になる。ゆえにこの本を読む必要がある。
あと、図鑑は前の世界とだいぶ違う生物や植物があるから違いを把握しておきたい。
そんなわけで図書館へ向かっている。俺の向かっている王立図書館はこの国の中で一番大きい図書館らしい。昨日、そこの司書さんと話した。で、そんな解説してる間にその図書館へ着いた。
(やっぱ、見た目からしてもデカいんだよなぁ。)
俺が最初見た時、遠近感を間違えたのかと思う程デカい。自分がミニチュアフィギュアになった気分になる。図書館の中へ入る。
「おはようございます。」
「はい、おはようございます。」
昨日、話をした司書さんに挨拶をする。その後、『童話』置いてある場所を教えてもらい、途中、昼飯を図書館近くで済ませ閉館まで読み過ごした。
---そんな図書館通いも3日も過ぎ、この世界の価値観・常識はなんとなくわかった。価値観は大体俺のいた世界とそう変わらないみたい。それは助かる。俺のいた世界に無い物質も図鑑に乗っていてその価値もなんとなく理解できた。
3日も経てば街中でも変化はある。『戦争が止まってる』だの『戦争がもう終った?』だの人が口々にするようになった。
宿は通いやすい図書館近くの宿に変え、そして今日もまた図書館へ行く。今日はルインが薦めてくれた『冒険譚』を読む。ルインはここの司書さんでこの広い図書館の内部を若いのに良く知っているし、とても本が好きな人だ。きっとこの薦めてくれた本は面白いに違いない。そう思い今日1日読みふける。
---俺は『冒険譚』読み終え、夕飯を食べながら考える。
(俺、トレジャーハンターになりたい!)
俺はこの『冒険譚』に感化された。
(たまにはこう、何かをきっかけに始めるってのも良いだろう。明日冒険者ギルドへ行ってみよう。いやー、楽しみだ。)
俺はウキウキ気分で飯を食い、宿へ戻る。
-『トレジャーハンター』-
トレジャーハンターと呼ばれる人達は冒険者ギルドに所属している人達で、各ダンジョンに眠っているお宝を手に入れたり、ダンジョンモンスターを倒し、魔石を売ることを生業にした人達のことだ。
ダンジョンは世界各地に存在している。ダンジョンという場所は特殊な場所で、お宝やモンスターが再配置されたり、階層ごとに地形が大きく変わったりする。中には物理法則がまったくことなるダンジョンもあったりする。ダンジョンとは、もはや異世界だ。
そして、一貫してダンジョンの内と外で異なる点はダンジョン内のモンスターはダンジョンの外には出られないことだ。厳密に言えば生きられるが長くは生きられない。何故ならダンジョンモンスターは魔石コアをエネルギー源にしている『魔核生物』だからだ。
『魔核生物』の核である魔石コアに魔力を流し続けられなければダンジョンモンスターは消滅し、魔石が残る。その魔石に外部から再度魔力を流してもモンスターは復活しない。魔石に魔力が溜まるだけだ。ただ、その魔石を加工すれば『モンスターだった時の性質を魔石に溜まった魔力を使用し再現できる』ため、魔石は重宝される。
ダンジョン内では高密度の魔力が漂っている。階層の奥に行けば行く程その魔力は濃くなっていく。ただ呼吸するだけ、ただ歩くだけで魔力が蓄積されていく。そこにいる生物・植物・鉱石などの魔力を保有できるものに蓄積される。ダンジョンの外はダンジョン内と比べて魔力は薄い。ダンジョンモンスターが外に出てしまうと徐々に魔力を失い、消滅してしまうほどだ。魔核生物にとっての魔力とは人間に例えるなら血液。人間も血液を徐々に失っていけば死んでしまう。それと同じことだ。
そのため、『あの戦争』に参加しているモンスターはいない。外にいる魔族達だけだ。
---------------
翌朝、冒険者ギルドへ向かう。中に入ると人がごった返していた。
「お?これなんて良さそうじゃないか?」
「あ、みなさん、おはようございまーす!」
「あ、この依頼を受けたいんですが…。」
「あいつまだこねぇのか?今日のクエは護衛依頼だから遅れんなって散々言ったんだけどな。」
「いいんじゃないですかね?さっそくクエスト受けましょうよ。」
「ふあぁ~。ねみぃ。」
「…。と、なっております。」
「おう、はよう。お前いつも朝から元気だな。」
「一応リーダーに聞いてからにしよう。依頼はキープしとこう。」
「あ、この野郎おせぇぞ!」
「はい、今日も依頼頑張って下さいね!」
俺がギルドに入ってすぐ拾った会話の内容はこんな感じだ。他にも大勢の人がいて騒がしい感じだ。
「朝から結構にぎやかだなぁ、ここ。」
冒険者ギルドに入ってすぐの入り口で俺は独り言を呟く。すると近くにいるテーブルにひじをついて手に飲み物を持って、椅子に座っているおっさんが話しかけてきた。
「あんた、王都のギルドは初めてか?」
俺は顔を向ける。
「ここはな、王都の中でも一番活気のあるギルドだ。この朝の時間帯でこんなに人がいるのは王都の中でもここくらいだ。夜になればもっとスゴいがな。ガッハッハッ。」
陽気な説明キャラのおっさんが続けて説明をする。
「あんた、見ない顔だな。その出で立ち…冒険者志望か?なら、登録はあっちだ。登録料に銀貨1枚必要なんだが、持ってるか?…なら、後の細かい説明は受付のねーちゃんに聞きな。」
親切で陽気な説明キャラのおっさんが親切に親指で場所を示してくれた。俺は会釈をして登録場所に向かおうとする。
「精々頑張んな。」
気遣いの出来る親切で陽気な説明キャラのおっさんがハッパをかけてきた。俺は受付に歩きながら片手を振る。中二病が好みそうな仕草《しぐさ》をする。列に並んで順場が回ってきた。
「次の方どうぞー。…本日はどのような用件ですか?」
「トレジャーハンターになるため登録をしたいんだが。」
「はい、ギルドへの冒険者登録ですね。ありがとうございます。…では、こちらの用紙の太い枠内の必須項目をご記入下さい。」
何故だかしれないがこの世界の文字が書ける。用紙に記入し始めた時に、受付の人がある重要なとこを聞いてきた。
「あの、トレジャーハンターになりたいとのことですが、一緒に『ダンジョン』に入るパーティーの方はいらっしゃいますか?」
思わず記入しているペンが止まり、顔を上げる。
「え?えっと…」
「ダンジョンに入る際はパーティーでないといけないんです。厳密にはギルドランクC級以下の冒険者の方は2名以上のパーティーでないと入れない規則になっております。」
俺は動揺が隠せず目を見開く。
「ギルドに登録した際はF級からスタートになりますので、新人冒険者の場合、ダンジョンに入る際、必ずどこかのパーティーに参加するか最初からパーティーでないと入れないんです。」
俺に笑顔で絶望を与えてきやがった受付のお姉さんは説明を続ける。
「郊外にいる魔物を狩ったり、採取したりするのに比べてダンジョンは大変危険で命を落とす方が多い場所ですのでランクの低い方にはあまり行って欲しくないんです。…ただ、『トレジャーハンターになりたい』と言って冒険者になる人が多く、『D級以下の方は入れない』規則だったのを『パーティーならD級以下でも可』、にしたんですよ。パーティーメンバーの宛はありますか?無ければ即席パーティーを組む申請を出しますが…。」
「あ、宛はある。…この用紙持ってってもいい?いいならもう1枚欲しい。もう1人の分も書いて持ってくる。」
「はい、ただ登録にはご本人が来ていただかないといけないので、登録時は本人も連れてきて下さいね。」
「ああ、はい、問題ないです。じゃあ、また来ます。」
「はい、お待ちしております。…次の方ー、どーぞー。」
(---パンナコッタ!じゃなかった。なんてこった。一人じゃ無理なのか…。仕方ない。)
俺は裏路地へ入り、アイテムボックスで空へ飛ぶ。郊外の森まで森まで飛んでいく。
(この辺で良いか。)
森の中の少し開けた場所に着地する。アイテムボックスを使用し、アイテムを取り出す。そして、俺はそのアイテムに向かってこう言った。
「一緒に…トレジャーハンターになろうぜ!」
俺はなんかテンションが高かった。そのアイテムは理解が追い付かず、こう言った。
「…。え?」
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