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第1章 取り残された世界で
7. 集(1)
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「ほんで? こないな大事な会議に遅れた理由をちゃんと言ってもらいまひょか?」
5人が集の会場に着き、会議室に入るなり扉の前で鬼族の長 蒐が怒りを露わにして待ち構えていた。
「せやから! 妖関連の事件に巻き込まれてそれを対処してたからってさっきも言ったやろ!」
「お前にはきいておりまへん。それにここには各種族の長とその部下以外 立ち入り禁止や。なのになんで部外者のヘンテコ陰陽師がおるんやろなぁ~?」
蒐が朝日を見ながらニタァと嫌な笑みを浮かべる。
鬼族は身長が2m越えの種族なので、必然的に蒐が朝日を見下ろす事になる。それが余計に朝日に不快感を与える。
「なんやと? お前こそ、その傲慢な態度直したらどうなんやっ! そんなんじゃ鬼族達が可哀想やわっ」
「なんやとこのチビっ!」
いつものごとく蒐と朝日が喧嘩をはじめる。相変わらずのことなのでみんな呆れ顔だ。
「まぁまぁ、そんなに怒らなくてもいいじゃろ。それに10分遅刻しただけじゃ。大目に見てもいいのじゃないかの?」
と、妖精王ミャーナが二人の間に入り仲裁する。
人懐っこそうな顔をして、長い髪を腰で1度縛り、そこから三つ編みにしている。
妖精族は平均身長130cmの種族で足は、鳥の足のようになっている。
妖精王などと呼ばれているがミャーナは女子だ。
男女構わず、妖精族のトップを妖精王と呼ぶのは妖精族のしきたりなのだ。
するとここで魔女族の長 ラーグが会話に割って入ってきた。
「私は妖精王の言う通りだと思うがね。それより早く集を始めないか。時間が惜しいのだが。」
目の下に濃いクマがあるラーグは、椅子に座ったまま時計を気にしながら不愉快そうに言った。仕事におわれていて常に忙しいそうにしているラーグらしい反応だった。
魔女族は容姿が人間族そっくりで、パッとみで魔女族だと判断できるものはそう居ない。
魔女族は元は人間だが、突然変異などで魔力以外の力を見に宿した者を"魔女"と呼び、区分している種族である。なので容姿が人間と同じなのだ。
ただ、人間と違い200年近く生きれる。
ちなみに、魔女が生まれるのはごく稀なので現在、魔女族は5人しかいない。
「そうだね。今日は私達のせいで遅れてしまって本当に申し訳ない。それとお願いなんだけれど、集が終わった後、朝日から話がある。だから朝日達をこの場にいさせていいかな?」
レラは丁寧に頭を下げると椅子に座った。そして、その後ろに桃菜と結良が立つ。
レラの問いに反対する者はいなかった。
「それじゃっ、仕切り直して集を始めるかの! 今日の進行役は誰じゃっけ? 前回は確か…ラーグじゃったっかの?」
「前回はレラ様です。今回進行役をなさるのは貴方です、妖精王よ。」
ミャーナの問いにミャーナの第1側近であるシルラーが答える。
シルラーはちょっと適当な妖精王と違い、ルールに厳しく仕事もテキパキこなす実力派だ。
肩に少しかかる髪のサイドを三つ編みにしていて、切れ長な目であまり感情が表に出ない為、その様子が余計に仕事ができるオーラを醸し出している。
その様子を見てラーグがまた呆れ顔になる。
「そんな事も覚えていないのか…。」
「うっ…! 」
ミャーナがしまった、という顔をする。
「…オッホン。で、では改めて集を開始する。今回の議題は、発病少女の事についてじゃ。各種族の間で猛威を奮っているこの病気じゃが、相変わらず解決策が見つかっておらん。各種族の医療スタッフが共同し全力を上げて研究を進めておるが、成果は上がっておらぬ。これ以上、発病少女を増やさん為にも、なにか策があれば言って欲しいのじゃ。」
発病少女と言う言葉に、レラは少し反応をする。
発病少女はいまこの世界で蔓延している少女しか かからない奇病だ。突然流行りだし、感染源も治す方法も分からないまま全世界に広まってしまった。
この病気にかかると、全身の血が沸騰し体内火傷をおう。そして為す術もないまま、全身の血管が熱さで破裂して死ぬ。
そして1番特徴的なのが、発病少女になった子の血が地面に落ちると、その血から華が咲く事だ。
その華は全体がガラスのような見た目で、血を吸い綺麗な赤色にそまる。そして彼岸花のような華を咲かせるのだ。
1人の発病少女が大量に血を吐き、辺り一面に血が飛んだ時、そこに華が咲いた光景はとても美しく様々な者の心を魅了した。
皮肉なことに、その写真が世にでまわった時は飛ぶように売れたと言う。
「打開策といっても、発病少女について分かっているのは、空気感染、接触感染はしないと言う事と発病した後の症状だけだろう。なのに策も何も無いと思うが。」
ラーグは両手を重ね、その上にアゴを乗せながら言う。
すると、それにレラが意見を言う。
「人間族の医療スタッフによると、発病少女になった少女達は強いストレスを抱えていた傾向があるという報告を受けた。まだ完全にそうだと決まった訳じゃないけれど、各種族でストレスが強い傾向にある少女達を隔離するのはどう?」
「せやの、特にこれと言った情報がある訳やないし、自分はレラの意見に賛成やなぁ。」
蒐がレラの意見に賛成する。ミャーナもそれに頷く。ラーグも「なるほどな…。」と言い納得したようだった。
「では、隔離する場所をどうするかじゃが………。」
そんなこんなで話は進み20分後には、海の上に臨時の隔離施設を設けることで話に決着が着いた。
「それじゃ、集も終わった事じゃし朝日の話を聞くとするかの。悪いの長らく待たせてしまって。」
「いや、お気になさらず。この場にいさせて頂けるだけで有難いさかい。」
結良達の後ろに立って待っていた朝日が答える。その横には夕顔もいる。
朝日が1歩前に出て話をしだした。
5人が集の会場に着き、会議室に入るなり扉の前で鬼族の長 蒐が怒りを露わにして待ち構えていた。
「せやから! 妖関連の事件に巻き込まれてそれを対処してたからってさっきも言ったやろ!」
「お前にはきいておりまへん。それにここには各種族の長とその部下以外 立ち入り禁止や。なのになんで部外者のヘンテコ陰陽師がおるんやろなぁ~?」
蒐が朝日を見ながらニタァと嫌な笑みを浮かべる。
鬼族は身長が2m越えの種族なので、必然的に蒐が朝日を見下ろす事になる。それが余計に朝日に不快感を与える。
「なんやと? お前こそ、その傲慢な態度直したらどうなんやっ! そんなんじゃ鬼族達が可哀想やわっ」
「なんやとこのチビっ!」
いつものごとく蒐と朝日が喧嘩をはじめる。相変わらずのことなのでみんな呆れ顔だ。
「まぁまぁ、そんなに怒らなくてもいいじゃろ。それに10分遅刻しただけじゃ。大目に見てもいいのじゃないかの?」
と、妖精王ミャーナが二人の間に入り仲裁する。
人懐っこそうな顔をして、長い髪を腰で1度縛り、そこから三つ編みにしている。
妖精族は平均身長130cmの種族で足は、鳥の足のようになっている。
妖精王などと呼ばれているがミャーナは女子だ。
男女構わず、妖精族のトップを妖精王と呼ぶのは妖精族のしきたりなのだ。
するとここで魔女族の長 ラーグが会話に割って入ってきた。
「私は妖精王の言う通りだと思うがね。それより早く集を始めないか。時間が惜しいのだが。」
目の下に濃いクマがあるラーグは、椅子に座ったまま時計を気にしながら不愉快そうに言った。仕事におわれていて常に忙しいそうにしているラーグらしい反応だった。
魔女族は容姿が人間族そっくりで、パッとみで魔女族だと判断できるものはそう居ない。
魔女族は元は人間だが、突然変異などで魔力以外の力を見に宿した者を"魔女"と呼び、区分している種族である。なので容姿が人間と同じなのだ。
ただ、人間と違い200年近く生きれる。
ちなみに、魔女が生まれるのはごく稀なので現在、魔女族は5人しかいない。
「そうだね。今日は私達のせいで遅れてしまって本当に申し訳ない。それとお願いなんだけれど、集が終わった後、朝日から話がある。だから朝日達をこの場にいさせていいかな?」
レラは丁寧に頭を下げると椅子に座った。そして、その後ろに桃菜と結良が立つ。
レラの問いに反対する者はいなかった。
「それじゃっ、仕切り直して集を始めるかの! 今日の進行役は誰じゃっけ? 前回は確か…ラーグじゃったっかの?」
「前回はレラ様です。今回進行役をなさるのは貴方です、妖精王よ。」
ミャーナの問いにミャーナの第1側近であるシルラーが答える。
シルラーはちょっと適当な妖精王と違い、ルールに厳しく仕事もテキパキこなす実力派だ。
肩に少しかかる髪のサイドを三つ編みにしていて、切れ長な目であまり感情が表に出ない為、その様子が余計に仕事ができるオーラを醸し出している。
その様子を見てラーグがまた呆れ顔になる。
「そんな事も覚えていないのか…。」
「うっ…! 」
ミャーナがしまった、という顔をする。
「…オッホン。で、では改めて集を開始する。今回の議題は、発病少女の事についてじゃ。各種族の間で猛威を奮っているこの病気じゃが、相変わらず解決策が見つかっておらん。各種族の医療スタッフが共同し全力を上げて研究を進めておるが、成果は上がっておらぬ。これ以上、発病少女を増やさん為にも、なにか策があれば言って欲しいのじゃ。」
発病少女と言う言葉に、レラは少し反応をする。
発病少女はいまこの世界で蔓延している少女しか かからない奇病だ。突然流行りだし、感染源も治す方法も分からないまま全世界に広まってしまった。
この病気にかかると、全身の血が沸騰し体内火傷をおう。そして為す術もないまま、全身の血管が熱さで破裂して死ぬ。
そして1番特徴的なのが、発病少女になった子の血が地面に落ちると、その血から華が咲く事だ。
その華は全体がガラスのような見た目で、血を吸い綺麗な赤色にそまる。そして彼岸花のような華を咲かせるのだ。
1人の発病少女が大量に血を吐き、辺り一面に血が飛んだ時、そこに華が咲いた光景はとても美しく様々な者の心を魅了した。
皮肉なことに、その写真が世にでまわった時は飛ぶように売れたと言う。
「打開策といっても、発病少女について分かっているのは、空気感染、接触感染はしないと言う事と発病した後の症状だけだろう。なのに策も何も無いと思うが。」
ラーグは両手を重ね、その上にアゴを乗せながら言う。
すると、それにレラが意見を言う。
「人間族の医療スタッフによると、発病少女になった少女達は強いストレスを抱えていた傾向があるという報告を受けた。まだ完全にそうだと決まった訳じゃないけれど、各種族でストレスが強い傾向にある少女達を隔離するのはどう?」
「せやの、特にこれと言った情報がある訳やないし、自分はレラの意見に賛成やなぁ。」
蒐がレラの意見に賛成する。ミャーナもそれに頷く。ラーグも「なるほどな…。」と言い納得したようだった。
「では、隔離する場所をどうするかじゃが………。」
そんなこんなで話は進み20分後には、海の上に臨時の隔離施設を設けることで話に決着が着いた。
「それじゃ、集も終わった事じゃし朝日の話を聞くとするかの。悪いの長らく待たせてしまって。」
「いや、お気になさらず。この場にいさせて頂けるだけで有難いさかい。」
結良達の後ろに立って待っていた朝日が答える。その横には夕顔もいる。
朝日が1歩前に出て話をしだした。
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