魔獣っ娘と王様

yahimoti

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第35話●アレインの逆襲

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「なんだ?またあいつらが来たのか?」

4機の大型魔導飛機で網に包まれた魔獣を吊り下げて空族が来る。

これで幼体ばかり3体目だ。

「何故こんな幼い魔獣を傷めつけるのだ。この子はお前達に何かしたのか?」

アレインはぐったりとしている魔獣を撫でながら言う。

ヒナが不思議そうに見ている。

空族の族長リットがニヤニヤしながら言う。

「いや、最近こいつが森に居着いたせいで魔物が森にいられなくなって村を襲った。」

「俺達は村の依頼でこいつを狩ったのさ。」

「だけどあんたには儲けさせてもらった恩があるから連れて来てやったっていう訳さ。」

空族の仲間達が笑っている。

クソが味をしめたってわけだ。
調子こいて、たかってくるようにしちまった。

俺達が何もしないと舐めているんだ。


空族で鑑定のスキルを持つ少年が身慄いする。

魔獣達から集まってくる魔力の昂りを感じとったのだろう。

「兄ちゃんだいぶもうかったんだからもうやめようよ。王様怒っているよ。」

「ゼデ、何を言ってんだ?俺達は親切でやってんだぜ。別に殺して素材にしても良かったんだからな。」

まあ、魔獣なんて恐れられるか、素材にする、名前を売る為に狩るぐらいとしか考えないんだろう。
人にとっては普通だし、こいつらの言う通りなんだろう。

魔獣達だってそう思っていて何で狩った魔獣を持って来るんだろうと思っている。

だけど自分達は間違っていないし悪くないって面をしてニタニタと笑っている奴らが許せないし嫌いだ。

別に俺が正しく無くてもいいよね。

アレインは魔獣達を見渡す。

俺を守ろうとしていつも俺の前に立つヒナを抱き上げて顔を見る。

ヒナは黙ったまま、にーっと笑う。

ゼデが魔力酔いになった様にふらふらして言う。

「兄ちゃん、挑発しちゃダメだよ。すぐに逃げないと。」

ゼデにはアレインの魔力が膨れ上がって行くのが見えている。

分母が99なのに分子が2万ぐらいになっている。

魔獣達の魔力が集まって来ているんだ。

「なんだ、何が起こったんだ?」

クラリスがふらふらと魔導飛機から降りてくる。

リットや他の空族達も既に立っていられなくて膝をついている。

キーンと空族達みんなに耳鳴りがした。

バコッ ボコッと音を立てて飛機の駆動部と武装が弾ける様に壊れた。

空族達の意識が一瞬飛んだ。

なんだ?何が起こった?
リットは周囲を見回す。
「あれ?俺達の拠点じゃねえか?いつの間に戻ったんだ?」

どうやら強制的に転移させられた様だ。

「あーっ、飛機がー。」

飛機は魔導部が壊された様だ。
搭載していたバリスタも解体されている。
全滅だ。

「兄ちゃん、パンツは?」

「お前もー。」

そーっとクラリスをみる。

「さすがに女の子のパンツを取るほど極悪じゃないみたいだな。」

いつもクラリスは家ではすっぽんぽんで歩き回っているから平気だけどとゼデは思った。
筋肉ムキムキすぎて全然エッチじゃないし。

バコっといきなりゲンコツをもらった。

「なんだよ、痛いよ姉ちゃん。」

「あんた今失礼な事考えたでしょう。」

何故わかる?

兄ちゃんの背中に紙が貼ってある。

「バーカバーカお前らもう出禁だからな、来んなよ。それからお前達みんなに呪いをかけてやった。ざまーみろ。アレイン王様より」

と下手な字で書いてある。

「呪い?」

そうつぶやくと紙に描いてある模様が光り魔獣の映像が浮かび上がった。

途端に尿意が。

みんなそろってシッコたれた。

そんな呪いなの?

「まあ、どうせパンツ履いてないし。」

「俺は履いてんだよ。クソー。着替えねえと。」

クラリスが家に走って行った。

空族は魔獣に関わることが出来なくなった。
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