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第23話●魔獣討伐?2
しおりを挟む城を包囲したまま動きの硬直したヴァイグル王国軍の背後から先に出かけて行っていた魔獣っ娘が帰って来てしまった。
娘だと見た目で舐めてかかった兵士が吹き飛ぶ。
「あー、なんかやっちゃっているな。」
アレインが包囲しているヴァイグル王国軍のところどころで砂埃が立ち上がるのを見て苦笑いする。
「おーさまー。これなに?向こうにいっぱいあった。中味見てもいいかな?」
ああ、アイゼイヤか。
片手で大型の軍用魔導飛機を持ち上げて持ってくる。
操縦席の窓から顔面蒼白の操縦士が見える。
周りにいた魔獣っ娘達も好奇心を抑えきれなくなってヴァイグル王国軍の方に行ってしまう。
鑑定のスキルを持つ兵士やその周辺の兵士は向かってくる魔獣っ娘を見て慌てて逃げて行く。
逃げると魔獣っ娘はさらに好奇心を煽られて追いかけ回す。
鑑定のスキルがない兵士は女の子が近づいて来たと舐めてかかる。
そして変なちょっかいを出しては吹き飛ばされている。
4人程冒険者っぽい若者が地面に座って何か祈っている。
ターフメがスタスタと近づいて行くと4人の若者はヘターと腰を抜かした。
「たーすけーてー。」
そりゃな。
ターフメはレベル150のヒュドラ。
鑑定が出来たら死ぬほど怖いだろうな。
「何しに来たの?なんか面白いことがあるの?」
ターフメは楽しそうに彼らの周りをスキップしている。
日頃見かけない人や物があるだけで珍しくて楽しいんだろうな。
アレインが近づいて行くと4人は沢山の魔獣っ娘達に取り囲まれてしまった。
「何しにこんな所に来たの?」
「王様がここに伝説級の魔獣がいるからそれを狩れば国も豊かになるからって討伐に....。」
「この娘達はここで暮らしているだけだけど。あんた達の国になんか迷惑をかけたのかな?」
「いや、それは、でも魔獣ですから。」
「ふーん。まあ冒険者は自己責任だから別にいいんだけど。」
殺す者は殺されるその覚悟の上での冒険者だからね。
「どーん。」と言いながらレベル250の金龍のアウザーラが飛びついてくる。
遊園地で子供が完全に調子に乗っている状態とおんなじだね。
いつもと違う雰囲気に舞い上がっているようだ。
みんながそんな状態で徐々に高揚しているようだ。
なにかで気を逸らさないと、兵士達が全滅してしまうかも。
ヒナが察したのか地面をどんどんと踏み鳴らす。
サンドワームやステップリザードが地中から飛び出してくる。
「今日はバーベキューをしようか?」
魔獣っ娘達が歓声を上げる。
動いているものに反応するのは狩猟本能だから仕方がない。
猫じゃらしに飛びつく猫みたいだ。
魔獣っ娘達がついサンドワームやステップリザードに手を出す。
これらの魔物でさえBクラス以上の冒険者がパーティでかかってようやく討伐できる。
これを魔獣っ娘達は片手で軽くぽんっと叩くだけでのしてしまう。
兵士達は既にパニック状態になって逃げまどっている。
アレインは震え上がっているウェリンの腕を引いて立ち上がらせる。
「今ならあいつらの興味はお肉に向いているから、この隙に帰ったらどうだ?」
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