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第11話●みんな帰った
しおりを挟む「ネーヴェサムって何?」
ヒナに聞いてみる。
「おやつちょうだい。」
「ん?国の名前じゃなかったの?」
「古ーい言葉。遠い遠い昔の、今はもういない種族の言葉。」
ヒナが遠い目をしてつぶやいている。
こいつの独り言で国の名前が「おやつちょうだい魔獣国」になってしまった。
まあ、いいか。
意味がわかる人間なんてそんなにいないだろう。
差し出されたヒナの手の平にキャラメルをのせてやる。
ヒナがにーっと笑う。
「危なかった。死んだと思った。」
エリクセンはほっと息を吐いた。
眼下には大荒野が広がっている。
一刻も早く帰りたい。
一体でさえ太刀打ちできない災害級魔獣が群れになっているなんて信じられない。
本来は孤高で自由な伝説の魔獣達がテリトリーも何も関係なく集まっているのは異常だろう?
あの冒険者のおっちゃんは何がしたかったんだろう。
今になって見れば自殺願望か何かがあったんじゃないかと思ってしまう。
アレインという王様らしき兄ちゃんも不思議だ。
あんな強大な力をもって何がしたいのかさっぱりわからない。
「ストラーニ殿、わしらは一体何しに行ったんじゃろう。」
ランドール男爵が遠い目をして言う。
「まさか、あんなに沢山の伝説級魔獣がまとまっているなんて誰も想像できないですよ。生きて帰れて良かった。帰ったらアーシェル様にはお礼をしないと。」
ストラーニは魔王アーシェルと神に感謝した。
「君たちは何してんの?」
洞窟に戻ってみるとアンドロイドの皆さんがウロウロしている。
「ご飯を食べようと思って。」
「作れるの?」
「多分。」
材料はコンビニのバックヤードから持って来たみたいだ。
それでもしばらくするとカレーのいい匂いがして来た。
電子レンジで温められるレトルトのご飯とカレーに手をかざしては封を切って行くアンドロイド達。
「温められるの?」
「私たちのような最新鋭機にはマイクロウェーブを照射するぐらい簡単なのよ。」
なんかすっごく自慢そうだ。
ちょっと意地悪を言ってあげたくなる。
「電子レンジだったのか?」
「くっ、ちがうわよ。それは数ある能力のほんの一つだからね。」
「これも食べたーい。これもチンして。」
エイベルが冷凍の肉まんを持って来た。
「これも....。」
と言ってアイゼイヤがフライドポテトを持って来る。
「どこにチンするなんて要素があったって言うのよ。だから私たちは電子レンジじゃなくてー。」
結局アンドロイド達はみんなが持って来たものを全部温めた。
「美味しいねー。アンちゃんすごいねー。」
「6体もいるのにまとめてアンちゃんはやめて。なんかガッカリマシンになったような気がするから。」
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