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第114話 空族3
しおりを挟むいきなりドンとソニックブームがなる。
プロペラ機体でそれはない。2機とも風防を突き合わせて急上昇していく。
上空でシンメトリーに2つに分かれて弧を描く。
戦闘と言うより曲芸になっている。
後ろに取りつこうとしたヘルキャット風の機体に対して急速に減速してその背面に機体を翻すゼロ戦風の機体。
お互いに相手にペイント弾を撃ちだすチャンスを与えない。
ぴったりと機体を寄せて旋回、錐揉み飛行を繰り返す。
飛行技術に剣聖の何が働いてこんなことができるのだろう。
だいたいレティシアは機体に乗るまでは腰がひけて操縦どころじゃなかったのに。
それが操縦桿を握って飛機の魔力が働き始めると雰囲気がガラリと変わった、あの剣舞の時と同じ。
キンと音がするぐらいの緊張感が走る。
凛々しいレティシアの出来上がりじゃ。
それにしてもヘンリックもなかなかやるではないかと思っているとすぐそばでそのヘンリックが
「いけーっ。うてーっ。」
とか言っている。
あれ?
「おい、ヘンリック、あれに乗ってたんじゃないのか。」
「代理人を立てるに決まっているだろ。だいたい俺はあんなもんの操縦など出来ん。」
決闘をふっかけて置いてたいがいの言い様じゃのう。
「じゃ、あれには誰が乗っているんじゃ。」
「エリミリア様。」
うーむ。
「お前なんて事を」
と言いたいところじゃがエリミリアではどうしょうもない。
と、ヘルキャット風の機体がジャックナイフターンをして(そんなターン魔導飛機がするか?
ゼロ戦風の機体の背面をとった。
レティシアは絶対絶命じゃ。
エリミリアがペイント弾を打ち出す。
じゃがペイント弾は風圧で押し戻されヘルキャット風の機体の風防に当たる。
なんちゅうヘタレの射出機じゃ。
エリミリアの視界が完全に奪われた。
機体の制御が失われる。
翼が傾き水面に接触した途端に機体はバラバラになる。
ゼロ戦風の機体も巻き込まれてバラバラになってしまった。
エリミリアは心配する必要もないがレティシアが心配だ。
バラバラになった機体が巻き上げた水しぶきが収まるとレティシアをお姫様抱っこしたエリミリアがあらわれる。
「あーははは、面白かったわ。ヘンリックごめんね、負けてしまったわ。」
でもイベントは大成功。ギャラリーも空族達も満足そうだ。
ちなみに3王女様達はバハムート型の機体。
ルチアナ皇女はどんぶりと箸の機体だった。
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