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第97話 月祭り1
しおりを挟む「ユウトようやく会いにくる気になったのね。」
たぶん初めてエリミリアにあった。
大聖女と呼ばれるに相応しい神々しい美しさ。
これが嫁さんってビックリじゃ。
エリミリアは珍しくソファーから立ち上がってわしの方に来る。
「いや、用事があるのはレティシアなんじゃ。」
「私達は夫婦なのよ。」
「すまんがそれはわしは覚えておらんし、わしがその勇者なのかはわからんのじゃが。」
といつもの決まり文句じゃが。
「あんた、みんなにそう言っているみたいだけどあんたが勇者なのは否定出来ないわ。ユウトで勇者なのよ。ちっちゃいけど。」
大聖女様見た目は神々しいけど口調はチンピラなのね。ギャップが激し過ぎ。
「今日はレティシアの描いた漫画を読んで欲しいんじゃ。」
「あんたは読んだの。」
「読んだよ。面白いと思うんだよ」
エリミリアなんだか目が怖いぞ。
「バカね。何しに私のところに来たの?あんたが読んで面白かった以上の何があるのかしら?」
わしとレティシアの頭の上に?マークじゃ。
エリミリアが何を言っているのか理解できない。
「漫画は読んでおくわ。」
エリミリアはわしを抱えて話しを始める。
ほっぺをつかんでぷにぷにする。
「あんたは見たこともないでしょうけどあんたには娘がいたのよ。」
「でも娘は普通の人間だったから70歳になって亡くなったわ。孫も曾孫も、、、。」
「私は不死になってしまったけど人の老化まで止めることは出来なかったわ。」
「1000年長かったわ。心がひからびてしまうほどね。」
「あんたが消えてしまったのはムート達の様子で分かったの。あんたにはわからないでしょうけど、わたしだけじゃない。みんな待ち続けてきたのよ。」
わしはそれを聞いてどうすればいいかさっぱりわからない。
みんなもう待たなくてもわしはここにいる。
多分もう、どこにも行かないよ。
とはいえちっこいので何にも出来ないけどね。
めっちゃ重たい話しになってしまったけど。
大丈夫か?わし。
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