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第93話 邪神ジェノツマルヤ4
しおりを挟む「なんで王宮に住まずにフィリップのところにいるの?」
「面倒くさいからに決まっておる、わしはゆるゆるダラダラと自由に暮らしたいんじゃ。」
従者がうわあという顔をしている。
「あはは、じゃあ僕と一緒だね。僕はユールこれからそう呼んでね、勇者はユウトだよね。ユウトって呼んでいい?」
ご先祖様とか言われるよりだいぶ良い。
ヤーマンダ家では男子の名前に「ユ」をつけるのが伝統なのか?
「見た感じは兄弟みたいだよね僕たち良く似ているし、うふふ、かわいい弟が欲しかったんだ。髪はサラサラ、ほっぺはぷにぷに、ちょっと触ってもいいかな。」
ユールが指をニギニギしている。
なんかこわい。
「ねえねえ、旅のしおりは見てくれた?
ダリオスの街や城塞の名所や名産、美味しいお店を調べたんだ。ダリオスでは少し時間があるから楽しみだね。」
この人の頭の中に邪神の件は入っているのじゃろうか?
城壁を出て転移陣に着くとすぐにダリオスの街に転送される。
ちょっとした眩暈を感じる程度で目の前の風景が一変する。
ダリオスの街はミスリル鉱を産出するので結構栄えている。
露天掘りされた巨大な採掘場を取り囲むように街がある。
ここで勇者パーティのメンバーだったドワーフのヴェロッテの孫ペルキナと合流する。
「久しぶりねユール。大きくなったわね。」
「ペルキナおばさんは大きくならないんだね。」
ユールってばど失礼な事をストレートで言うんだ。
「ドワーフだからこんなもんよ。」
ペルキナさん普通なんだ。
「ユールあんたミニチュア連れて歩いてんの?弟なんかいたっけ、あんたの子?」
「そんな訳ないですよ。勇者ですよ。勇者のユウト。」
「ふーん、じゃあ私のおじいちゃんね。」
まあじじいじゃが。
ペルキナさんはダリオスの街で鍛冶屋と冒険者をやっている。
パーティメンバーも孫になるとまともになってくるようじゃ。
ダリオス名物ミスリル饅頭とかヴェロッテのマスコットとかをお土産物屋で買う、明日は城塞に移動なので今日の内に鉱山を見て回ろう。
露天掘りなので丸見えなんだけど。
帝国が鉱石を買うようになり、また観光にくる者が増えたので宿や商店が増え街は賑やかになった。
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