90 / 117
第90話 邪神ジェノツマルヤ1
しおりを挟む何か暖かいぷよぷよしたものが仰向けに寝ているわしの顔に乗っていて息苦しい。
またレティシアかルチアナがあかんものを押しつけて寝ているのじゃろう。
「苦しいわ。」
と言って起き上がるとそれは顔にしがみついたままついて来た。
なんじゃギンか。
ギンを顔から引き剥がしてルチアナの上に乗せて起き上がる。
寝室の扉を開けるとメイド達が待ち受けている。
ひとしきり着せ替え人形のように色々な服を取っ替えひっかえしてメイド達の気が済むとダイニングにつれて行かれる。
既にムートやレティシアはテーブルについて朝食を始めている。
「ユウト遅いわね。」
とレティシアが言う。
おまえ達より先に起きたわ、遅いのはわしのせいではないわ。
頭はピカピカに撫でつけられ、ピラピラの付いた貴族のお坊ちゃん服を着せられている。
まあ着るものに頓着はないからメイド達の気が済むようにさせている。
テーブルに着き目玉焼きから食べ始める。
スクランブルエッグ、ゆで卵と卵ばかりではいかんような気がするのでプチトマト3個とポテトフライを食べる。
食べ終わった後もポーっと椅子に座っておった。
視界の端でギンがパタパタと飛んでいるのが見えている。
ちょっとは大きくなったのか?人化すると3歳児ぐらいか?
「ユウトにくっついていれば魔力をたくさん吸収出来るから育つのが早いのよ。」
アサンが言う。
だからママさんはわしにギンを押し付けていったのか。
「銀竜は小さい時は他の竜より弱いから強そうな者に預けた方が安心だからね。」
とムートが続ける。
竜が言うんだから間違いないじゃろう。
わしゃギンのオヤツ兼ベビーシッターか。
皆とリビングに移動してお茶を飲む。
レティシアの兄のフィリップがリビングに入ってくる。
「ユウト、頼みがあるんだが、、、。」
フィリップがわしに頼みと言うのは初めてじゃろう。
なんでも最近ダリオス城塞の近隣の山中から地響きのような呻き声が聞こえる様になりずっと続いているらしい。
冒険者や騎士団が捜索に向かったのだが見つけることも出来ない。
声が山あいに反響して方向が掴めない。
多分認識阻害の結界が張られているのじゃろう。
その内あちこちで邪神の復活ではないかと言う者が出て来て村々で不安が高まっているらしい。
邪神については公式にはこれといった記録も伝承もない。
村によっては大きな蛇の形をしていてなんでも飲み込んでしまうとか、真っ黒な固まりだとか、話しの出どころもはっきりしない。
どんな存在なのかわからないそうだ。
それで勇者ならなんとか出来るんじゃないかと言い出す者が出て来たらしい。
今は勇者の存在を知っているのは王族や貴族の一部ぐらいなのでヤーマンダ公爵になんとかしろ、勇者の血筋なんだからと風当たりが強くなっているそうだ。
0
お気に入りに追加
383
あなたにおすすめの小説


貧弱の英雄
カタナヅキ
ファンタジー
この世界では誰もが生まれた時から「異能」と「レベル」呼ばれる能力を身に付けており、人々はレベルを上げて自分の能力を磨き、それに適した職業に就くのが当たり前だった。しかし、山奥で捨てられていたところを狩人に拾われ、後に「ナイ」と名付けられた少年は「貧弱」という異能の中でも異質な能力を身に付けていた。
貧弱の能力の効果は日付が変更される度に強制的にレベルがリセットされてしまい、生まれた時からナイは「レベル1」だった。どれだけ努力してレベルを上げようと日付変わる度にレベル1に戻ってしまい、レベルで上がった分の能力が低下してしまう。
自分の貧弱の技能に悲観する彼だったが、ある時にレベルを上昇させるときに身に付ける「SP」の存在を知る。これを使用すれば「技能」と呼ばれる様々な技術を身に付ける事を知り、レベルが毎日のようにリセットされる事を逆に利用して彼はSPを溜めて数々の技能を身に付け、落ちこぼれと呼んだ者達を見返すため、底辺から成り上がる――
※修正要請のコメントは対処後に削除します。

【幸せスキル】は蜜の味 ハイハイしてたらレベルアップ
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕の名前はアーリー
不慮な事故で死んでしまった僕は転生することになりました
今度は幸せになってほしいという事でチートな能力を神様から授った
まさかの転生という事でチートを駆使して暮らしていきたいと思います
ーーーー
間違い召喚3巻発売記念として投稿いたします
アーリーは間違い召喚と同じ時期に生まれた作品です
読んでいただけると嬉しいです
23話で一時終了となります
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

ユーヤのお気楽異世界転移
暇野無学
ファンタジー
死因は神様の当て逃げです! 地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。

異世界転生ファミリー
くろねこ教授
ファンタジー
辺境のとある家族。その一家には秘密があった?!
辺境の村に住む何の変哲もないマーティン一家。
アリス・マーティンは美人で料理が旨い主婦。
アーサーは元腕利きの冒険者、村の自警団のリーダー格で頼れる男。
長男のナイトはクールで賢い美少年。
ソフィアは産まれて一年の赤ん坊。
何の不思議もない家族と思われたが……
彼等には実は他人に知られる訳にはいかない秘密があったのだ。
2回目の人生は異世界で
黒ハット
ファンタジー
増田信也は初めてのデートの待ち合わせ場所に行く途中ペットの子犬を抱いて横断歩道を信号が青で渡っていた時に大型トラックが暴走して来てトラックに跳ね飛ばされて内臓が破裂して即死したはずだが、気が付くとそこは見知らぬ異世界の遺跡の中で、何故かペットの柴犬と異世界に生き返った。2日目の人生は異世界で生きる事になった
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる