転生勇者の異世界見聞録

yahimoti

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第90話 邪神ジェノツマルヤ1

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何か暖かいぷよぷよしたものが仰向けに寝ているわしの顔に乗っていて息苦しい。

またレティシアかルチアナがあかんものを押しつけて寝ているのじゃろう。

「苦しいわ。」

と言って起き上がるとそれは顔にしがみついたままついて来た。

なんじゃギンか。

ギンを顔から引き剥がしてルチアナの上に乗せて起き上がる。

寝室の扉を開けるとメイド達が待ち受けている。

ひとしきり着せ替え人形のように色々な服を取っ替えひっかえしてメイド達の気が済むとダイニングにつれて行かれる。

既にムートやレティシアはテーブルについて朝食を始めている。

「ユウト遅いわね。」

とレティシアが言う。

おまえ達より先に起きたわ、遅いのはわしのせいではないわ。

頭はピカピカに撫でつけられ、ピラピラの付いた貴族のお坊ちゃん服を着せられている。

まあ着るものに頓着はないからメイド達の気が済むようにさせている。

テーブルに着き目玉焼きから食べ始める。

スクランブルエッグ、ゆで卵と卵ばかりではいかんような気がするのでプチトマト3個とポテトフライを食べる。

食べ終わった後もポーっと椅子に座っておった。

視界の端でギンがパタパタと飛んでいるのが見えている。

ちょっとは大きくなったのか?人化すると3歳児ぐらいか?

「ユウトにくっついていれば魔力をたくさん吸収出来るから育つのが早いのよ。」

アサンが言う。

だからママさんはわしにギンを押し付けていったのか。

「銀竜は小さい時は他の竜より弱いから強そうな者に預けた方が安心だからね。」

とムートが続ける。

竜が言うんだから間違いないじゃろう。

わしゃギンのオヤツ兼ベビーシッターか。

皆とリビングに移動してお茶を飲む。

レティシアの兄のフィリップがリビングに入ってくる。

「ユウト、頼みがあるんだが、、、。」

フィリップがわしに頼みと言うのは初めてじゃろう。

なんでも最近ダリオス城塞の近隣の山中から地響きのような呻き声が聞こえる様になりずっと続いているらしい。

冒険者や騎士団が捜索に向かったのだが見つけることも出来ない。

声が山あいに反響して方向が掴めない。

多分認識阻害の結界が張られているのじゃろう。

その内あちこちで邪神の復活ではないかと言う者が出て来て村々で不安が高まっているらしい。

邪神については公式にはこれといった記録も伝承もない。

村によっては大きな蛇の形をしていてなんでも飲み込んでしまうとか、真っ黒な固まりだとか、話しの出どころもはっきりしない。

どんな存在なのかわからないそうだ。

それで勇者ならなんとか出来るんじゃないかと言い出す者が出て来たらしい。

今は勇者の存在を知っているのは王族や貴族の一部ぐらいなのでヤーマンダ公爵になんとかしろ、勇者の血筋なんだからと風当たりが強くなっているそうだ。

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