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第66話 カニツアー9
しおりを挟むちょっと帝国を見に行くかな。
ひと通り話して落ち着いたのかテーブルの上をジーっと見ておる。
腹が空いたのじゃろうか。
カレーをふるまってやることにした。
いくらでもあるしね。
魔法技術師のデルバートはまだぎこちない様子で警戒をとかない。
わしの動きにびくびくしている。
「じゃ、わしらは帰るとするかな。」
と言ってアサンに泡を出してもらう。
わしの重力魔法でもいいんじゃが、頼れるものは頼らないとね。
わしらが泡に入って水面を滑るようにして去っていくとようやく魔法技術師のデルバートはほっと息をついた。
「女の子達はかわいいがあの子供は話し方がじじいみたいだったな。」
とジナルトン管理官は言う。
「管理官気がつかなかったのですか。」
「何がだ。あの子供、紋章を変だとか言って失礼な。」
「まあ、まだ子供だしこの崇高さが分からなくても仕方がないかな。」
「デルバート殿はどうしたのだ。なんだか様子が変だが。」
「さっきのお方、賢者様でしたよ。抑えておられましたが魔力の大きさがあり得ない程大きくて強い、あんな人間ましてや子供は賢者様しかいません。」
「えーっ」
ジナルトン管理官の声が島に響いた。
アサンに乗って島を離れようとするとクラーケン達が停泊している船を取り囲んでいる。
こりゃあ船の乗員はパニックもんじゃな。
一匹でも恐ろしいのに見たところ30匹はいる。
クラーケン達は興味深々といった感じだ。
「遊んじゃダメよそれは海賊船じゃないんだから、今は我慢しなさい。」
とアサンが言うとクラーケン達は耳をたれてシュポンシュポンと海に潜って行った。
アサンにロイス邸の裏側の海岸まで乗せてもらう。
厨房に行く途中でメイド達が騒いでいる。
「この箱に洗濯物を入れてボタンを押すと洗濯ができるんです。」
「さらに上の箱に入れる乾かしてくれるんですよ。すごいですね。とってもお洗濯が楽になりました。」
と言っている。
思っていたよりもすごいものを作っていた。
洗濯槽のふたにつけられたマークはどんぶりと箸をデザインしたものだった。
厨房でシェフにインベントリからカニを出して渡す。
「いいカニですね。たくさんありますか?ちょうど食品を冷やして保存する箱を買って頂いたところなんです。」
見ると冷蔵庫が厨房に置かれている。
冷凍庫も付いている。
ドアにつけられたエンブレムはどんぶりと箸がデザインされている。
さらにロイス邸の廊下を歩いていると先端がT字型になった棒で床に敷かれた絨毯をこすっているメイドがいた。
「これ落ちているゴミや埃を吸い込んじゃうのすごいでしょ。」
静かでコードレスだし軽量化されている。
吸い込んだゴミを消してしまう魔法も付与してある。
前世の掃除機よりも高性能なぐらいだ。
そしてこれにもどんぶりと箸のマークが付いている。
わし、なんかまずいことしたのかも。
カールにもお土産と言って凍らせたカニをいくつか渡して部屋に行き休むことにした。
なんか疲れた。
ベッドに転がるとムートやリル、アサンが当たり前のようにベッドに上がってきて静かに身体を寄せて眠る。
そこにレティシアがするすると滑り込みわしを抱える。
定位置じゃな。
わしもいつのまにか眠ってしまった。
ムートたちがロイス邸に帰ってまもなくクライアス王が教会を訪問した。
大聖女エリミリアは食卓に並ぶカニ料理を見て
「あーはははは。」
と聖女らしからぬ笑い声を上げた。
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