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第61話 カニツアー4
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ホビエの港街に着いたのだが、なんだか妙に静かだ。
旅館に着くとここも閑散とした感じ、まだカニシーズンには早すぎたのか?
旅館の店主が出て来て言う。
「せっかく来て頂いて申し訳ないのですが今はカニ料理は出来ません。」
「カニが入手出来ないんです。魚やエビなどの料理でしたらご用意できますがよろしいでしょうか。」
せっかく来たのだしそれはそれでいいか、港街だし海鮮物は美味しいだろうし。
少し旅館で落ち着いたら、街を散策に出かける。
お店などは開けているが人通りが少なく活気がない。
「カニもとれんし、お客さんも来ないし、今年はダメだな。」
とお土産物屋の店主が言う。
街のすぐ近くにある漁港に行くと漁師達が網の修繕をしながらここでも
「今年はダメだ。」
と口々にぼやいている。
漁港のそばの砂浜に立ってマップを広げて見る。
「魚はいる、カニはもっと深い所かな?」と探知のチャネルを変えて行くとなんかでかいものがおる。
リルが鼻をくんくんさせて「アサンー。」と叫ぶ。
ムートも同じように匂いを嗅ぐとリルと同じように「アサンー。」と海に呼びかける。
と、海の遠くの方で何かがちょこんと頭を出した。
はっとした様子を見せるとぐんぐん近づいてくる。
途中から海上に飛び上がって全身を見せる。
美しい水色の透明な羽根を広げる。
しかし、やはりでかいのう。
周囲に人がいないからいいものの間近で見たらパニックじゃ。
ムートとリルが手を振っている。
こいつが勇者の第3のペット、リバイアサンか。
もうネタバレじゃ。
こいつも人化した。
細かなドレープの入った水色のワンピースを着ておってお淑やかな雰囲気の超ナイスなお姉さんじゃ。
「久しぶりー。」とか言っておる。
なんでこんなところにおるんじゃいなどと思っていると。
「カニ食べてたー。」とか言いおる。
お前のせいか。
3人?3匹?で旧交を温めておったかと思うと急に何かに気がついたのかわしを見る。
ムートが「ご主人様だよ。ちっちゃいけどー。」と言う。
お前までちっちゃいって言うんかい。
リバイアサンはわしを抱き上げるとくんくん匂いを嗅ぐ。
「本当だ、ご主人様だ。」と言うとわしの手を持ったままぐるぐる回って。
「やっと会えたー。」
と言って涙目になっている。
「目が回るわい。」と言うと。
「あっ、と言って手を離す。」
お前もかー。
遠心力で存分に速度の乗ったわしがピューンと沖に飛んで行く。
まあ海なので壊れるものはないから問題ない。
わしはくるくると回転して海面に着水する。
重力が操れるのだからこのくらいは出来るのじゃ。
バッシャーンとアサンが飛び込んでくる。
ザブーンと水を頭からかぶってしまう。
びしょびしょのままアサンが抱きついてくるものだからわしもずぶ濡れじゃ。
かっこいい着水がだいなしじゃ。
「ごめんね、ご主人様。」
とアサンが目をうるうるさせる。
お前もか。
旅館に着くとここも閑散とした感じ、まだカニシーズンには早すぎたのか?
旅館の店主が出て来て言う。
「せっかく来て頂いて申し訳ないのですが今はカニ料理は出来ません。」
「カニが入手出来ないんです。魚やエビなどの料理でしたらご用意できますがよろしいでしょうか。」
せっかく来たのだしそれはそれでいいか、港街だし海鮮物は美味しいだろうし。
少し旅館で落ち着いたら、街を散策に出かける。
お店などは開けているが人通りが少なく活気がない。
「カニもとれんし、お客さんも来ないし、今年はダメだな。」
とお土産物屋の店主が言う。
街のすぐ近くにある漁港に行くと漁師達が網の修繕をしながらここでも
「今年はダメだ。」
と口々にぼやいている。
漁港のそばの砂浜に立ってマップを広げて見る。
「魚はいる、カニはもっと深い所かな?」と探知のチャネルを変えて行くとなんかでかいものがおる。
リルが鼻をくんくんさせて「アサンー。」と叫ぶ。
ムートも同じように匂いを嗅ぐとリルと同じように「アサンー。」と海に呼びかける。
と、海の遠くの方で何かがちょこんと頭を出した。
はっとした様子を見せるとぐんぐん近づいてくる。
途中から海上に飛び上がって全身を見せる。
美しい水色の透明な羽根を広げる。
しかし、やはりでかいのう。
周囲に人がいないからいいものの間近で見たらパニックじゃ。
ムートとリルが手を振っている。
こいつが勇者の第3のペット、リバイアサンか。
もうネタバレじゃ。
こいつも人化した。
細かなドレープの入った水色のワンピースを着ておってお淑やかな雰囲気の超ナイスなお姉さんじゃ。
「久しぶりー。」とか言っておる。
なんでこんなところにおるんじゃいなどと思っていると。
「カニ食べてたー。」とか言いおる。
お前のせいか。
3人?3匹?で旧交を温めておったかと思うと急に何かに気がついたのかわしを見る。
ムートが「ご主人様だよ。ちっちゃいけどー。」と言う。
お前までちっちゃいって言うんかい。
リバイアサンはわしを抱き上げるとくんくん匂いを嗅ぐ。
「本当だ、ご主人様だ。」と言うとわしの手を持ったままぐるぐる回って。
「やっと会えたー。」
と言って涙目になっている。
「目が回るわい。」と言うと。
「あっ、と言って手を離す。」
お前もかー。
遠心力で存分に速度の乗ったわしがピューンと沖に飛んで行く。
まあ海なので壊れるものはないから問題ない。
わしはくるくると回転して海面に着水する。
重力が操れるのだからこのくらいは出来るのじゃ。
バッシャーンとアサンが飛び込んでくる。
ザブーンと水を頭からかぶってしまう。
びしょびしょのままアサンが抱きついてくるものだからわしもずぶ濡れじゃ。
かっこいい着水がだいなしじゃ。
「ごめんね、ご主人様。」
とアサンが目をうるうるさせる。
お前もか。
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