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第56話 大聖女エリミリア2
しおりを挟む王は孤独だ。
大聖女エリミリア様は人でありながら神格を得ている。
永遠の若さで死ぬ事はない。
私からすると超おおおおおばあ様だ。
慈悲の権現とか言われていても面と向かって話しをすることなどめったにないので超怖い。
2000年も生きて退屈なのではと普通は思う。
だが実際はめっちゃ忙しくしておられる。
「あら、クライアス珍しいわね。ちょっと大きくなった。さっき私に失礼なこと考えてなかった?」
「あーっいえとんでもございません。今日は勇者様のことでー。」
王は緊張して頭から汗を流している。
いや、大きくなるなんて年じゃないし。
「なにかしこまっているのよ。少し前はエリミリアちゃーん抱っこしてーとか言ってたくせに。」
話しにくい。
それは私が小さい頃の話なので勘弁して欲しい。
大聖女は時間に対する感覚が普通と違うのでいつまでも私の事を子供だと思っている。
私はもう35歳で子供もいるのに。
大聖女が勇者との旅を終えて帰ってきてからこの教会の名前はエリミリア教会となってこの方の住まいとなった。
神殿に作られた大聖女の執務室にはたくさんの人が集まっていた。
普通なら王が来るのだから人払いなどをするのだが、ここではそのような特別扱いはない。
王もそれがわかっているから平民のような服装で大聖女の執務室前に他の人々と同じに並んで順番を待った。
大聖女は部屋に置かれたソファーにもたれて原稿のようなものを読みながら入ってきた者達が芸をしたり歌ったり楽器で演奏をするのを見ている。
「きゃははっ、それ面白いよ。あんた明日、王都大劇場に出なよ。」
「支配人、来てるだろ。見た?絶対ウケるからだしてやんな」と言っていたかと思うと。
「この物語泣けるわー。版元これ本にしな。」
などとなんでも見て聞いて読んで良いと思うと片っ端からデビューさせる。
私から見てもこれはあかんだろと思うものでも「ここをもう一捻りしたらどうか。」
とか「方向性を変えていっそコメディにしては。」とアドバイスする。
ここは作家や芸人、芸術家達のオーディション会場の様だ。
このため王国は芸術大国になっている。
いろいろな芸術やエンターティメントが国の内外に発信され大きな税収になっているのだ。
元々は永く生きて来て退屈なので侍従などに「なんか面白いことをしろ」と無茶振りしていた。
困った侍従が大道芸人などを連れて来た事が始まりだ。
やっと私の順番が来たというわけで勇者の事を説明する。
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