転生勇者の異世界見聞録

yahimoti

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第55話 大聖女エリミリア1

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勇者が帝国軍を追い返したと言う話しは王宮にも伝わっている。

衛兵達が気がついた時には王都の防壁の直ぐ近くにおよそ5万人の軍勢が整然と配備されていた。

王都に常備している兵士は3000人程。召集して軍を整えるには最短でも7日はかかる。

兵舎の司令室で報告を聞いたトラヴィス将軍は絶望した。

ところが状況は一転、巨大な影が王都を横切ってまもなく帝国軍は忽然と消えた。

防壁の上から見ていた衛兵の話しでは帝国軍の真ん中に巨大な竜が降り立った。

竜の頭の上に乗ったどんぶりと箸を持った子供が何かを言いながら箸を振ると帝国軍も竜と子供も消えてしまったと言う事だ。

伝承にある勇者とバハムートが現れて王国の危機を救ったのか?

とりあえず王宮に行き報告をしなくてはならない。

勇者が王国を救った事はわかった。

あのちっちゃい子供にそんな力があるとは思っていなかったが、やはり勇者は我々とは別格なのだろう。

クライアス王は頭をかかえている。

この国に対する貢献には相応の褒章が必要なのだがこれ程の貢献となるとどうすれば良いのか考えもつかない。

しかも勇者は王より上の存在なのだ。

集まった大臣達も案が無いのか押し黙っている。

デルバート宰相がうつむいていた顔を上げて「大聖女様に相談してはいかがでしょうか。」

皆が驚愕した顔をする。

「名案ではある。だが誰が大聖女様と話しをするのだ。」

言い出しっぺのデルバート宰相があからさまに私はイヤとばかりによそを向いている。

ずるいぞ。

しかし他の大臣達も同じ様なものか。

「私が」までしか言っていないのに皆ほっとして表情まで明るくなって既に別の案件について話し始めるものまでおる。

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