転生勇者の異世界見聞録

yahimoti

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第45話 獣人族とフェンリル1

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目覚めるとレティシアの抱き枕。

ほっぺたをぷにぷにと掴んでくる。

そして足元で丸くなって寝ているムート。

レティシアの腕を押しのけて起き上がり寝室をでるとメイド集団が待ち構えている。

それも、てぐすね引いてわくわくしながら。

着せ替え人形のようにいろんな服を合わせて見て納得がいくと満足げな顔をしたメイド達がダイニングに案内してくれる。

既にレティシアとムートは朝食を食べている。

わしがダイニングに入ってくるのを見てメイドに親指を立てて合図する。

メイド達はなぜか誇らしげだ。

3人の王女達はテラスを走り回っている。

似たような年頃で3人いれば退屈することもないのだろう。

ご機嫌をとらずにすむので都合がいい。

わしの中味はじじいなので王女達は孫みたいなもんじゃからの。

目玉焼きとスクランブルエッグとゆで卵を食べているとレティシアのお父上カール侯爵とエマ夫人がダイニングに入って席に着く。

兄上のフィリップは騎士団への出勤前といったところか。

いつの間にかこれが日常の朝になってしまった。

不思議なもんじゃ。

今でこそ召喚された勇者という事になってしまったが元々人さらいに連れてこられた何者かわからない子供だったのじゃから。

「で、毎回それなの。」

レティシアが呆れて言う。

わしはしっぽを掴んだままミヤに抱きかかえられている。

「つい、しっぽを見るとさわりたくなるんじゃ。」

久しぶりにまた天ぷらが食べたくなって猫耳しっぽ亭にやって来た。

ミヤの猫耳を見ると気分が舞い上がってしまうし、しっぽなんかもうたまらんのじゃ。

ミヤはと言うと大の子供好きなのでちっちゃいユウトのぽよぽよのほっぺを見るとたまらないらしい。

「坊ちゃん、そろそろわしのしっぽをはなしてくださらんかにゃ、厨房に戻りたいのにゃが。」

わしがつかんでいたのは親父のトラのしっぽじゃった。

タピタが微妙な表情をしている。

わしはしっぽならなんでもいいんじゃ。

アジの天ぷらを食べながらユリアンナが

「獣人族の里って言えばうどんが有名よね。この店ではうどんは出さないの?」

「うどんを打つなら里の水じゃにゃいと。うみゃいうどんにならにゃいんでね。」

獣人族のこだわりじゃな。

そう言われると食べてみたいなー。

「親父、里ではどの店のうどんが美味しいんじゃ。」

「どの店のうどんもうみゃい。どこが1番じゃなくていろんなうまさがあるのでいろいろ食べ回ることにゃ。」

なんか昔、四国の人に聞いた事があるような話しじゃ。
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