転生勇者の異世界見聞録

yahimoti

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第37話 魔国チェルゴス 温泉と勇者召喚4

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周りで「勇者様」と歓声が上がる。

「ちょっとまて、これは間違いじゃ。」

とわしは言う。

周囲の王族や貴族達はぽかんとして一瞬静かになる。

その隙にわしは魔法師らしき人物に駆け寄って金貨を渡す。

「もう一度やり直すんじゃ。」

と言って温泉に転移した。

温泉に着いたとたんにレティシアに抱えられる。

「ユウトどこ行ってたの、食事の用意が出来たって。上がるわよ。」

いや、わしは湯に浸かってないんじゃが。

有無を言わさず浴衣を着せられてしまう。

テーブルの上にはでかい舟盛りや鍋、美しい料理が並んでいる。

「ご主人様。待ってたんだよ。もう食べていい。」

とムートが目を輝かせている。

「うん、食べよう。すごく美味しそうだね。」

そう言って箸を持つとまた体が光り始めた。

「まてまて、なんでこのタイミングなんじゃ。吸い物ー。舟盛りー。」

また魔法陣の真ん中に立ってた浴衣を着て箸を持ったまま。

また歓声が上がる。

「ちがう、ちがうんじゃ。」

わしはまた魔法師に金貨を渡して転移した。

料理は?

「ユウトが遅いから片付けられちゃったわ。」

「美味しかったわ。」

「コカトリスのフォワグラなんて口の中でとろけちゃったし。」

「サンドワームのステーキ柔らかで歯がいらないぐらい。」

「何も食べてないのに。」

わしはがっくりと肩を落とす。

そこへサキュバスの中居さんがデザートを持って来る。

「特産の火山いちごのショートケーキですー。」

今度こそとフォークを手に取るとまた体が光り始めた。

必死でケーキに手を伸ばすがフォークがケーキに届く事はなかった。

魔法陣の真ん中で立ち尽くす。

もう一度じゃと魔法師を見ると首を左右に振って魔法陣の真ん中、わしの足元を指指す。

勇者ガチャ100年に3回迄と文字が浮かび上がり魔法陣が薄くなってやがて消えてしまった。

わしが悄然と立ち尽くすのとは対象的に周囲の歓声は高まって行く。

「わしは何も食べてないんじゃー。

たくさんのメイドや従者に取り囲まれ、豪奢な服を着せられて聖剣を持たされた。

それらは勝手に小さなわしの体に合う様に大きさを変えた。

「聖衣と聖剣がこの方を選んだ。」

とさらに盛り上がっている。

確か大賢者にジョブ変更していたはずじゃったはずじゃが?とメニューを開くと大賢者と勇者のダブルジョブになっておる。

いいかげんというかほんとになんでもありじゃな。


そうこうしていると宰相とか言う偉いおっさんが今後は王宮で暮らしてもらうとか言い出した。

わしを閉じ込めて都合のいいように使うこんたんじゃな。

わしは自由勝手にだらだら暮らしたいのじゃ。

というわけで子供限定の必殺技を繰り出すことにした。
「いやじゃー。カールのとこがいいのじや。エマー助けてー。」とギャン泣きする。

泣く子には勝てないということじゃ。

王様はしょうがないと言った様子で「すまんカール世話をかけるがたのんだぞ。」と言う。

カールには悪いが利用させてもらうのじゃ。

エマが泣き続けるわしを抱きあげて聖堂をでる。

エマが何か含み笑いをしている。絶対嘘泣きがばれている。

カールも仕方がないと苦笑いしているし。

教会をでるとカールとエマに礼を言ってわしは転移で温泉を目指す。

仕切り直しじゃ。

温泉を楽しむのじゃ。
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