転生勇者の異世界見聞録

yahimoti

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第36話 魔国チェルゴス 温泉と勇者召喚3

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その頃フエツの街にあるエリミリア教会の大聖堂では着々と勇者召喚の儀式が進められていた。

魔法陣の周りには王族や貴族達がギャラリーとして集まっている。

過去に何度か計画されてのだが、どうしてもエリミリア金貨が集められなくて実行できなかった。

今回は奇跡的にカール公爵が入手に成功したので実行に至った。

魔法陣に描かれた六芒星の頂点には金貨を嵌め込む窪みがある。

王国筆頭魔法師クリムロンタが厳かに金貨を一枚一枚窪みに嵌め込んでいく。

何か呪文のようなものを唱えている。

そして最後の1枚が嵌め込まれると魔法陣が光りはじめる。

ギャラリー達は息を潜めて様子を見守っている。

魔法陣は一際激しく光る。



まずは内風呂といくかー。

とユウトがかけ湯をするために手桶を取ろうとすると。

「ユウト洗ってあげるよ。」

とレティシアとムートがわしを抱える。

「コラーっ一緒に入ってくるな。」

「いつも一緒に入っているじゃない。ちっちゃいのに何が恥ずかしいのよ。」

中はじじいなんじゃ。

ようやく解放されて湯船に浸かる。

「ふーう。」

と言おうとした時、突然体が光りはじめる。

「ななななんじゃー。」

と言っているうちに強制的に転移させられる。

「ユウトが消えたー。」

レティシアの悲痛な声が浴室に響く。



魔法陣の激しい光が収まると、魔法陣の真ん中に裸の子供が立っていた。

「成功じゃ。勇者様が召喚された。」

一瞬の静けさの後、歓声が聖堂に響く。

「ちっちゃいわね。」

「子供だし裸よ。」

気がつくと魔法陣の真ん中に転移していた。

これから温泉に浸かる至高の一瞬のはずだったのに何だこれ。


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