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第30話 スタンピード3
しおりを挟むこりゃ落ち着くまでほっとくしかないな。
街道を何台もの馬車が連なるように走っているのが見えてきたと思うとあっという間に追い越した。
まあ、先に行って待っていてもいいし、と楽観していた。
前方にダリオスの街が見えてきた。
ダリオスの街はフエツの街の4分の1もない大きさだがミスリル鉱を産出するので結構栄えている。
露天掘りされた巨大な採掘場を取り囲むように街があり、さらにそれを取り囲むように防壁がある。
そろそろ地上に降りんとまずいなとは思うがムートは我を失ったまま暴走状態。
この場合暴飛行状態かな。
ダリオスの向こうに黒々と荒野を埋め尽くすように魔物達がいるのが見えてきた。
さらにまずい。
ムートは街を飛び越えると目に入った魔物達に向けてブレスを吐いた。
「こ、こらムートやめろ。」
わしは慌ててムートの頭をぺちゃぺちゃと叩く。
「え、え、なに、なに。キューっ」
とムートは我に帰ったのじゃがわしに頭を叩かれて脳震とうを起こして目を回してしまった。
ちょっと力かげんをまずったようだ。
ムートが制御不能になってぐるぐると錐揉み状態になって落ちてゆく。
わしは片手でレティシアをつかみ、もう一方の手で真っ逆さまに落ちていくムートの頭を押さえ飛行魔法で落下速度を落とす。
落ちている間にムートに人化させる。
そのままのデカさで落ちると衝撃で街に被害が出そうだし。
ワシ達は荒野の少し小高い丘の上に降りた。
二人は地面に座り込んでいる。
「ごめんなさい。ユウト。」
まあ、しょうがないね。
それよりもとてもまずいことになった。
ムートのブレスで魔物が全滅してしまった。
まあ、バハムートだし仕方がないね。
「ユウト、何がまずいの。スタンピードがなくなって良かったんじゃないの。」
「冒険者や騎士達は3日もかけてやってくるんじゃ。準備にもお金がかかっておるじゃろ。」
「着いたらもう終わってましたじゃまずいじゃろ。」
「冒険者も生活かかっているし騎士も面子があるから手ぶらでは帰れんぞ。」
「ちょっとは戦ったりドロップアイテムを持って帰らんとな。」
「ご主人様ー。ボクなんかやっちゃた。」
ムートが涙目になっている。
「ううん、ムートの逆鱗をわたしが触っちゃったからムートは悪くないの。」
レティシアもか。
「まあ、みんなが着くまで後2日あるからなんとかして見よう。」
「ご主人あてはあるのー。」
「そうだなー、ダンジョンマスターに頼んでみるかな。」
とりあえず大量に落ちているドロップアイテムは集めてインベントリにしまっておこう。
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