転生勇者の異世界見聞録

yahimoti

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第1話 はじまり

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舞台はドルツリア大陸
アクションRPGゲーム 
ロストヒストリーワールドの世界。
剣と魔法の異世界だ。
ただし、ゲームのメインストーリーは終わっている。
エンドロール後の世界。

これは転生あるいは転移して来た者達の異世界見聞録。


目の前は暗い。
麻の生地の様で生地の目から若干の光は入るが外の様子は見えない。

麻袋のようなものをかぶせられ紐でぐるぐる巻きにされている。

おそらく馬車だとは思うがその荷台に乗せられているようだ。

木製の硬い車輪がでこぼこの路面にあたる。

振動と音がひどい。

時々子供のすすり泣きの声が聞こえる。

30分ほど前にわしはこの世界にやって来た。

定年を過ぎ嘱託で会社勤めを続けて10年。

管理職ではなくなり、かつての部下が上司になっている。

彼らからは老害だとか思われていたかもしれない。

毎日電車に乗って会社に行く。

家ではゲームをするかアニメを見る、または携帯小説を読んで時間を過ごす。

年はとってもすることは若い頃とそんなに変わらない。

時間のある分若い頃より自由になった。

その日もゲームでいくつかのクエストをこなした後、リビングに寝転んで携帯小説を読んでいた。

異世界に転生した少年がチートな魔法でドッカンドッカンやっているところあたりで寝落ちしたはず。

目覚めると目の前は真っ白。

目を閉じているのか開いているのかの実感もない。

目が見えなくなったと思ってあわてていた。

真っ白な中にも徐々に陰影が出来て人らしい形を作っていく。

距離感がつかめないせいかぼんやりとしている。

うわあ、こりゃおきまりのやつか。

するとわしは死んだのか?

ってことは、異世界転生来たーってこと?

「まあ、そんなとこだね。」とそのぼんやりとした陰影から声がかかる。

リビングで寝てただけなのになんで死んだんだろ?

「心筋梗塞だね。」

人の形のぼんやりが軽く言う。

「ほんとか?」

「たぶん」と軽く言われる。

「たぶんかー。」

いいかげんな感じだがこいつはおそらく神の類いなんだろうな。

「そだよー。」

完全に心を読んでいるな。
なんだかあんまり死んだ実感がない。

苦しい、とか痛いとかはなかったし、寝てたからその延長という感じしかない。

「で、わしはこれからどうなるのかな」

神を名乗るぼんやりとした人の形は徐々にはっきりとしてくる。

性別のよくわからない子供。
十歳くらいかな?金髪だし、目も青いし人種も不明。

でも日本語。

なんか都合良くできている。

「そりゃ神様だしね。なんでもありだよ。」

「で、君にはお望み通り剣と魔法の世界に行ってもらうよ。嬉しい?」

すると目の前はさらに真っ白に光り出す。

「ちょっちょっと説明とかはないのー。」

ないようだ。

どゆこと?
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