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第68話 きっとなんとかなる。

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この世界では15歳には成人と見なされる。

冒険者や商人、職人のギルドでは10歳から登録が可能だし、貧しい農家でも10歳になったら長男以外は外に出される。

コージもそれでフエツの街に出て冒険者をしていた。

子供に過酷な世界なのだ。

それでも手を差し伸べる大人はいてなんとか生きて来た。

マリタお嬢様は錬金術や付与が使えるようになってきたので万が一コージがいなくても自立できる。

ヘルミーネお嬢様は実は魔法使いと調薬のジョブをもっている。
教えると言っても聞いてくれるだろうか?

コージはまだ結婚できるまで後3年あるし、伯爵とはいえなんの後ろ盾もない子供なのでお嬢様の親御さんは不安なのだろう。

と言って2人を失ったいいのかって考えると何か不安の様な焦燥感の様な不思議な気持ちが胸の中に渦巻いてくる。

リビングでハンネス子爵夫妻とダクマルガ男爵夫妻に相対して何を言われるのかとドキドキしている。

上位の貴族とは言っても歴史も力もない成り上がりの子供だし。

「ストレイフ伯爵お久しぶりです。娘がお世話になっております。」

子爵様も男爵様もニコニコしているけど両奥様の目が怖いのはどうしたものでしょう?

「婚約して2年、娘をお預けしていますが、いかがですか?」

ダクマルガ男爵夫人が問いかける。

「ええ、ああ、うう、たたい大変素敵なお嬢様なので楽しく過ごさせて頂いております。」

「手付かずの様ですね。」

「いや、あー、そんな、そーいうのは結婚してから...。それに僕はまだ13歳で...。」

奥様、目が怖いです。

はい、部分的には大人な所もあります。

「それではこれからもヘルミーネをお預けしていても良いのですね。なんでしたら後2人の娘もお預けしても。」

「いやそれはあー。」

コージの受け答えはしどろもどろなのだけどダクマルガ男爵夫人には問題が無い様だ。

ハンネス子爵夫人が口を開く。

「まあ、まだ子供みたいなものですから急がなくても大丈夫でしょう?ストレイフ伯爵?」

ハンネス子爵夫人も目が怖いです。

助け船じゃなかった。

コージははっと思いついて未来眼鏡を取り出して説明を始めた。

10年後のストレイフ伯爵邸の様子を見てもらえばご夫人方も安心するのではないでしょうか。

魔道具を出すとダクマルガ男爵夫人の様子がなんかおかしくなって来た。

「まあ、魔道具じゃないの、これはどうやって使うのかしら。

コージの手から眼鏡をひったくるようにとっていきなり顔にかけている。

全然説明を聞く気がない。

ヘルミーネお嬢様とおんなじ。
お母様の影響というか血を引いたって事なんだ。

モニターにはさっきのコージの顔とお嬢様の声が....。

まずい。慌ててコージはモニターのスイッチを切るが眼鏡までは。

ダクマルガ男爵夫人は黙って眼鏡をハンネス子爵夫人に渡す。
ちょっと顔が赤いが何かに納得したご様子。

「あら。」

と言ってハンネス子爵夫人も少し顔を赤らめて眼鏡を外す。

眼鏡を渡されたコージはスイッチを切ってインベントリに片付ける。

なんだか妙な沈黙が。

ご夫人お二人が顔を見合わせて何やら目で合図をすると。

「わかりました。娘をお願いします。」

そう言ってご主人達には何も説明せずに「用事は済みましたわ娘の邪魔にならないように帰りますわよ。」
と言って帰ってしまった。

ハンネス子爵もダクマルガ男爵もなんだかわからんという顔をしながら夫人に連れ去られてしまった。

マリタお嬢様とヘルミーネお嬢様がほっとしている。

どうやら窮地は去ったらしい。








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