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第42話 変わりゆく帝都
しおりを挟む猫舌屋を含むコージの領館はコスタドガル帝国の帝都サデセブにあるし、領地エウルチグの中心地ドミフの街にもある。
空間を跨いで同時に両方にある。
サデセブのお客様はサデセブに、
ドミフのお客様からドミフに帰る。
でも、しようと思えばサデセブのお客様がドミフに行く事もその逆も出来る。
なのでコージ達はどちらへもすぐに行ける。
どのように出入りする人の行き来を区別しているのかは不明。
それが魔法ってことだよね。
近頃の帝都の様子は激変していて浮動機がたくさん行き来している。
だが、面白いのは馬が引く浮動機が来ると何故か推進機能を持つ浮動機は馬が通り過ぎるのを待つのだ。
多分ゴーレムと同じコアを使っているせいで家畜やペットの生き物などを保護する機能が働いてしまうのだろう。
お店もかつては産地直送の農産物や工芸品などが多く見られたのに最近ではおしゃれなカフェやレストラン、デザインブランドの用品店などが増えている。
いろいろなお店を大きな建物に集めた集合店舗ができて来て浮動機を止められる駐機場が併設された施設が出来ている。
ショッピングモールみたいだ。
集合店舗の計画にはダクマルガ男爵やゴレンフロさんも関係しているらしい。
魔法技術師主任デルバートさんが開発発売した浮動機MVー33ビークルが大人気なんだそうだ。
ゴーレムに使っているコアと同じものを搭載しているから事故もないし安全なんだって。
浮動機が周囲の状況を把握して他の物や人との接触を完全に避けるし、目的地を設定すれば操縦しなくてもいい。
デルバート主任は新型を見せてやるからみんなでショールームに来いって言うんだ。
自慢したいだけなのに。
そんなに遠くないけど貴族なんだからペタペタ歩いて来るなって言う。
仕方なくヘルミーネお嬢様のお父様に馬車を借りた。
多分コージの浮動機だとシンプルすぎて貧乏臭いものに乗って来るなって怒るんだ。
ダクマルガ男爵の馬車は浮動機に改装してあるけど見栄えは貴族っぽい豪奢な作りをしているからね。
ただしダクマルガ男爵もついて来た。
それならとマリタお嬢様もハンネス子爵やら商人のゴレンフロさんを馬車付きで連れて来ちゃった。
まあそのおかげでトラやハチも馬車に乗れるからいいんだけど。
だけど何、この状況。
コージは困った。
いくら良く知っていると言っても左右にお嬢様が座って挟まれている。
しかもぎゅっとくっついてマリタお嬢様とヘルミーネお嬢様が睨みあっている。
その向かいの席ではハンネス子爵とダクマルガ男爵が苦笑いをして、微笑ましいものを見る目をしている。
全然、微笑ましいと言う状態じゃなくてまさに修羅場なんですけど。
た、た、助けて。
ショールームは元閲兵の広場だった帝城前の物流センターに隣接している。
巨大な国際見本市会場の一角を浮動機の普及の為にショールームとしている。
ようやく修羅場から解放されて浮動機から降りるともう一台の浮動機に乗せられていたマヨネが駆け寄って来る。
マヨネを抱き上げるとなんだかホッとする。
「街が変わってた。きれいなお菓子のお店があった。」
と目をピカピカさせて話す。
チャオが「かわいい服のお店があったわ、絶対マヨネに似合うから帰りによりましょう。」
とこれも嬉しそうに言う。
「あんた達ってなんだか家族みたいね。」
ヘルミーネお嬢様が言う。
マリタお嬢様は少し不機嫌に見える。
ショールームから出てきたデルバート主任は満面の笑みで子爵と男爵に挨拶する。
コージにも嬉しそうな顔をして手を振る。
コージも片手をあげて返礼する。
ハンネス子爵とダクマルガ男爵を連れて来たことは彼にとっても好都合だったようだ。
コージは展示された浮動機MV シリーズを見る。
一人乗り、二人乗り、四人乗りからバスのようなモデルもある。
なんかこのバスでかいハムスターと姉妹が出て来る前世の超有名アニメで見たものに似ている。猫型だから似るのはしょうがないかな?
お嬢様方はちょっとテンション低め。
この手の魔導具にはあまり興味がないのかな。
それよりも帰りに寄り道するお店の事で盛り上がっている。
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