そのAIゴーレムっ娘は猫とプリンの夢をみる

yahimoti

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第29話 トラとハチ

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コージがゆっくりとページを開いてジーっと読んでいる隣でマヨネはテーブルに置かれた本のページをペラペラと超高速でめくっているだけに見える。

この時マヨネの目は本のページを高速撮影し画像からテキストに変換、プロセッサで解析。

内容をプログラム化してストレージに保管していく。

読んでいるのは錬金術の技術書なのでマヨネはとんでもない勢いで錬金術を学習していることになる。

コージが爵位を授与された時の特権で帝国図書館と王国図書館の全ての書籍の閲覧権がもらえたので午前中はみんなで図書館に来る事にした。

チャオとマリタお嬢様も並んで本を読んでいる。

二人が読んでいるのは漫画のようだ。

帝国図書館は魔法学校と併設されており帝宮に近接している。

猫舌屋のあるガラクタ通りから中央大通りにでて歩いても30分ぐらいなので散歩にもいい距離感。

お店は今はゴーレムが店番している。

マヨネの設計図を元にかなりの劣化版だけど店番出来るお手伝いゴーレムを2体作った。

劣化版と言っても本体強度とプロセッサの処理能力、ストレージの大きさが違うくらい。

って言うとかなり違うかな。

戦闘能力は持たせていない。

学習機能はマヨネの様な自主的に学習するタイプではなくプログラムをインストールするタイプだ。

食事はしない。

魔石に魔力を充填するタイプ。

電池式みたいなもの。

見た目はマヨネより少し大きな猫獣人の女の子型で、髪の色が銀と白が縞模様になったトラと黒の真ん中分けのハチの2体。

メイド服を着ている。

もちろん猫耳としっぽがある。

コージの猫好きのせいだね。

今日はヘルミーネお嬢様が一緒にいてくれているから大丈夫だと思う。

ヘルミーネお嬢様は魔道具オタクなのでトラとハチに興味深々なんだ。

「今日はお店にヘルミーネお嬢様がいるからケーキのお土産を買って帰ろうね。」

とマヨネに言うと。

首をコクコクと振って

「ヘルミーネがいるからね。」

とおうむ返ししてくる。

チャオとマリタお嬢様がいろいろなケーキが並んだショーケースを覗き込んで相談している。

お客さんが来ない間トラとハチはそれぞれ手分けして品出しをしたりお店の掃除をする。

それも終わるとジーっとしている。

「あんた達といても以外と退屈ね。」

ヘルミーネお嬢様は不満そうだ。

しばらくするとお嬢様は何を思ったのか埃取りのハタキの先を外して柄と先っぽのフサフサに紐をつけて繋いだ。

ポーンっとフサフサを投げると少しずつ柄を引いてフサフサを動かす。

トラとハチはじっとしているが目はフサフサに釘付けになっている。

フサフサが少し動くとトラとハチがピクッと動く。

その様子を見てヘルミーネお嬢様の目がピカリとひかる。

ヘルミーネお嬢様がハタキの柄をきゅっと引くとフサフサがブワっと動く。

トラとハチはそれを目で追いかける。

そうしているうちにフサフサが自走掃除機に引っかかるとその拍子に自走掃除機のスイッチが入る、しかも最高速モードで。

自走掃除機がギュンっと動くとついにトラとハチが我慢出来なくなった様に飛びつく。

だが自走掃除機は二人を避ける様に店内を走り回る。

ハタキの柄とフサフサを繋いだ紐が腕に絡まったヘルミーネお嬢様は自走掃除機に引っ張り回されている。

トラとハチはもう夢中にになって自走掃除機に引っかかったフサフサを追いかけ回している。

商品の展示棚の上だろうがショーケースの中だろうがお構い無しだ。
ドンガラガッチャンですー。

コージがお店の扉を開くと商品や備品がめちゃくちゃに散らかっている。

店の中では自走掃除機に引っかかった紐にぐるぐる巻きにされたトラとハチとヘルミーネお嬢様がクタクタになって転がっていた。

「何があったのー?」

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