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第15話 錬金術師
しおりを挟む「ぜーんぜーんわかんない。」
助手として来た錬金術師が言う。
魔導飛機の取り扱いについて説明するのだけど伝わらない。
コージも誰かに教えてもらった訳ではないのでどうやって伝えたらいいのかわからない。
実際にやって見せているのだけどそれでもわからない様だ。
その内5人とも「何にも教えてくれない。」とか言い出す。
するとそこにマリタが来て言う。
「何が分からないのかしら?さっきからコージが言っている様に、ここに回路を設定して、これとこれをリンクさせて...」
と説明し始める。
5人の錬金術師はその説明を聞くと。
「あら、そう、こうすればいいのね。」
と作業を始める。
彼女達は帝国の技術学園の卒業生だ。
しかもみんな貴族の令嬢でもある。
平民で冒険者の錬金術師から教わることなんかないと思っている。
しかもコージはドギマギしていて説明もたどたどしい。
「おかしいわね。コージが説明しているのを聞いて覚えたのに。私、錬金術師でもないし。」
と言ってマリタは首をかしげる。
マヨネはさっきから他の馬車への魔導飛機の取り付けと調整をしている。
さすがはAI、すぐに覚えてしまう。
「コージが作っているところ1回見た。カンタン。」
5人の錬金術師達は顔を赤くしている。
「マリタお嬢様から伺いました。コージ様には申し訳ない事をしました。」
ゴレンフロさんが言う。
「技術者と言うのは技術そのものをもっと素直に受け止めるものだと思っていましたが、人選を誤った様です。また人選をし直すのでお許しください。」
いやいや、そんな事をしたら帝国中の錬金術師に嫌われてしまう。
「いえ、せっかく作業内容を覚えてもらったのでそのままで大丈夫です。」
「マリタお嬢様の話しは聞いてくれそうなので間をとり持って頂きます。」
「じきに彼女たちだけで作れるようになりますし、出来るようになったら彼女達から他の錬金術師に説明して貰えばいいでしょう。」
マリタお嬢様に作業マニュアルの作成をお願いするとマヨネを貸してと言われた。
マヨネはパソコンみたいなもんなんだな。
「マニュアルが出来たら帝国に行こう。」
コージが言う。
なんだかコミュ障こじらせたみたいね。
チャオが困った様にため息をつく。
マヨネは新しいものが見られる期待でワクワクしている。
「お世話になりました。」
とコージがお礼を言うがハンネス子爵は複雑そうな表情をしている。
ゴレンフロさんも同様だ。
マリタお嬢様は何故か泣きはらした様に目を赤くしている。
マリタお嬢様が気にすることは何もない。
少なくともお嬢様はコージを理解しようとしてくれた。
コージはお嬢様に礼を言う。
「お嬢様がわかってくれて助かりました。後の事おまかせします。お願いします。」
「で、でも私には....、」
「大丈夫です。僕が鑑定したところお嬢様には錬金術と付与のスキルがあります。」
コージは別れ際にマリタお嬢様に指輪を渡す。
「いざと言うときこれがお嬢様を守ります。いつも身につけていてくださいね。」
防御と転移の付与をしてあるので何かあれば結界を張って守るとともに安全な場所に転移する。
マリタお嬢様は赤い顔をしてコクコクとうなずいている。
「コージ、指輪をはめてください。」
そう言って左手の薬指を伸ばす。
コージは何も考えずに指輪をはめる。
「必ず帰って来てくださいね。」
と言ってお嬢様はニッコリする。
お嬢様の侍女やメイドが「おおっ」っとどよめく。
チャオが呆れている。
ハンネス子爵様とゴレンフロさんがニンマリと微笑んでいる。
コージはマリタお嬢様の機嫌が直って何よりと思っている。
コージはこの世界での指輪の意味が分かっていない様だ。
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