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第11話 盗賊

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「あーっ、これは盗賊だね。」

浮動機を馬車のすぐ後ろに付けて外に出る。

盗賊と思わしき男たちが声をかけてくる。

「おい、カモが来たぜ。」

「面白い乗り物と女と子供だ。ちょいとした金になるだろうよ。」

とか言っている。

盗賊確定だね。

「チャオ、やっつけちゃえ」

チャオがひょいっと飛んで腕を振ると3人の男達が吹き飛んだ。

マヨネが目をキラキラさせて僕を見る。

「ケガをしないようにね。」

って言うとぴゅーんと盗賊の集団の中に飛び込んで行った。

僕はと言うとインベントリからM16の様なアサルトライフルをだす。

バリバリとオートモードで弾丸をばら撒く。

口径が小さいので魔物には効果的とは言えないけど人間相手なら充分使える。

盗賊達がびっくりした顔をしてバタバタ倒れる。

音がやかましいからね。

50人近くいたのにさほど時間もかからず制圧する。

倒れた馬車から4人の男女が降りてくる。

防衛の為に戦っていた冒険者も集まってくる。

「ありゃ、コージじゃないか。助けてくれたのか?」

「ありがとう。オレはクラクル、こいつはエドリフ、それからサリュー。3人のパーティなんだ。」

この人達はフエツの冒険者ギルドで会ったマッテオの友達のパーティだ。

マッテオさんと同じランクAの凄腕のパーティだ。

それでも今回は対人だし相手が多すぎる。

「最近はコスタドガル帝国での仕事が増えたから盗賊も減ったって聞いたけど。」

と話しを振る。

「いや、仕事は増えても何処に行っても職場に馴染めない奴はいるもんさ。」

それで盗賊になるって言うのはリスクが高いな。

「ハンネス子爵のお嬢様でマリタさん、それから商人のゴレンフロさんと従者のウィンコヴナさんだよ護衛依頼をしていたんだ。」

しかし馬車が....。

と商人のゴレンフロさんが言う。

盗賊も売り物になる馬は殺さなかったみたいだが馬車の車輪は壊れてしまった。

荷台と客室は無事の様だが。

マヨネが横倒しになっていた客室をひょいっと起こす。

マリタお嬢様がびっくりしている。

「あ、いい考えがある。」

そう言ってコージは馬車を触りはじめる。

クラクルさん達には盗賊を拘束しておいて貰った。

馬車の客室と荷台をくっつけて両方が少し浮かぶ様に魔導飛機を取り付けて馬に引かせる様にした。

今までと操作が変わらないから扱いやすいだろう。

ウィンコヴナさんが馭者台に乗る。
馬車は静かに動き出す。

「おお、軽く感じる。馬の負担が少なくなった。」

ゴレンフロさんが客室から顔を出して、

「物凄く快適、揺れもないし静かだ。これはいい。コージさんありがとうございます。」

「それは良かった。じゃあ僕達は先に行きますので盗賊達をお願いしますね。

「あ、お礼を....。」

と言うまもなかった。

「なんだかあっさりした子供だな。」

とハンネス子爵は思った。

コージはあっさりしているのではなく初対面の人と話しをするのがとっても苦手なので逃げただけだ。

目的地がダリオスならまた会うだろう。

ダリオスの街はミスリル鉱を産出するので結構栄えている。

露天掘りされた巨大な採掘場を取り囲むように街がある。

コスタドガル帝国が最近になって国の方向性を軍事から技術による富国政治に切り替えてから急に豊かになってダリオス鉱山の上得意になっている。

そのためダリオスでもコスタドガル帝国からの支援で採掘や精錬技術が向上しており、更に上質のミスリルが販売出来るようになった。

ハンネス子爵は急に景気が良くなった自領に久しぶりに帰ってきたところだ。

ところでマリタお嬢様は少し不機嫌だ。

お嬢様は見目麗しいのでいつもならお嬢様を見かけた男子は相応の反応を示すものなのだ。

なのに何故か自分達を助けた少年はマリタに目を向ける事すらなく馬車を修理するとさっさと出発してしまった。

猫耳のお姉さんと小さな子供を連れていたからもしかすると幼児とケモ耳にしか関心のない変態かもしれない。

きっとそうよ。

と勝手に決めつけて納得する事にした。
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