蒼穹のゼデ

yahimoti

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第38話 蒲焼

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神輿の曳行やプギデの演舞も終わり、前夜には天灯(ランタン)の放空も終わった。

 大収獲祭ポルヒグもピークを過ぎてはいるが、集会所前の広場では祭壇に神輿が祀られ。
歌やダンスが奉納されている。

島民も倦むことなく酒を飲み、歌い、踊り、語る。

突然、長老のエルフのメルリリが歌を止めた。

太鼓や笛を鳴らしていた者も手を止めてメルリリを見る。

遠くの空を見上げている。

「みんなー。プギデに乗れー。蒲焼ーじゃない、飛蛇の群れじゃー。
あれはうまいぞー。」

「年寄りの長老が1番目がきくってのはなー。」

「リットー、わしを年寄り扱いするな。わしはエルフとしてはまだ若木じゃぞー。」

「はいはい。」

「はいは一度じゃー。」

「ゼデ、クラリス、プギアゼラをあげるぞ。」

プギアゼラ(魔導飛機)にはプギデが3機搭載出来る。

ギルドのある本島トリコピ島にはさらに巨大な母船ドギアゼラがある。

飛蛇って言うけどでかい。
竜と何が違うのかはわからない。手足こそないけど角は小さいながらもあって、コウモリみたいな羽が生えている。

空の一角にうじゃうじゃと固まって飛んでいる。

リットのプギアゼラが一気に上昇する。

兄弟みんなで飛ぶのは久しぶりでなんだかウキウキする。

飛蛇の姿がぐんぐん近くなってくる。

やっぱりでかい。

ぎょろりと大きな目玉で見られたような気がする。

こわー。

長い体をニョロニョロうねらせて飛んでいるので頭ばっかり気にしていると叩き落とされてしまう。

「ゼデ、クラリス、出すぜ。」

プギデがプギアゼラから飛び出す。

やる事はいつもと同じ。

まず思いっきり上昇して飛蛇の真上を取る。

そして一気に急降下して銛を放つ。

飛蛇1匹にプギアゼラ4機プギデが8機から12機が取り付く。

仕留めたらプギアゼラで吊り下げて持って帰らないといけないからね。

ほどほどに弱らせて海に落ちてしまわないように曳行ワイヤー付きの銛を打ち込むんだ。

ギルドが出て来ると母船に積んじゃうんだけどね。

他の島のプギアゼラもどんどん集まってきた。

「ゼデ、エルテが来てるよ。」

ナイクの声がインカムに入ってくる。

「久しぶりね。元気だった?」

エルテの甲高い声が聞こえてくる。

「こいつすっごく美味しいらしいわよ。」





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