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第31話 空族ギルド
しおりを挟むクラリスの白いセルタ(受風航機)が島の近くの海の上を舞っている。
ゼデはクラリスを追ってプミタス(空族)ギルドのある小島群ラウバル諸島の一つトリコピ島に向かっている。
ベテランなだけあってクラリスは気流の流れが見えているかの様に風に乗り上昇して行く。
後を追うゼデにはその事が実感できる。
プミタス(空族)は通常狩りの時以外はプギアゼラ(魔導飛機)やプギデ(捕竜機)を使わない。
「推進機のついた飛機なんて誰でも乗れるじゃん。やっぱ、風を読んで風に乗って飛ぶのが最高でしょ。」
っと言うのがプミタスの意気込みって事らしい。
そう言いながらたまにプギデに乗ると思いっきり暴走して楽しんじゃうんだけど。
「ゼデー。お姉ちゃんと一緒なのー。」
インカムにナイクの声が入ってくる。
見回すとナイクと母親の虎獣人族の戦士、ガウラが飛んでいる。
「ギルドに登録に行くんでしょう。」
プミタスグリを卒業してさらに12歳になるとプミタスの子供達は正式にギルドに登録してザウリア(捕鯨師)になる。
もちろん全部が全部ではない。
ウェルのように帝国の技術院や他の国に働きに行く者もいるし、ギルドの職員になる者もいる。
ザウリアにも狩るだけではなくてプギアゼラの整備や狩りの後方支援、食事の用意や獲物の解体、保管などいろんな仕事がある。
トリコピ島の中央にあるギルド前に広場にはたくさんのセルタが降り立っている。
「ゼデ、久しぶりね。」
エルテが近づいてくる。
なんだかすごく大人っぽくなっている。
「あなた、ストレイフ子爵にプギデをカスタマイズしてもらったんでしょう?」
「見せてくれるかしら?」
「島にあるよ。でも子爵はみんなのも順次カスタマイズするって言っていたよ。」
「私は早く見たいの。」
ギルドの手続きはクラリスが持って来た書面と本人確認ぐらいで滞りなく終わった。
「ちょっと。」
ギルドを出ようとするゼデはギルドの職員に止められる。
「あなた、ラプザーラに行ったって子でしょう?」
「ラプザーラ?」
「ラプトの海のこと、成層圏にあると言われているわ。」
「どうしてそれを?」
「あら、プミタスの機体にはナビコがついているでしょう?機体に異常が起こるとギルドの本部ナビコに接続するようになっているのよ。そうでないと遭難した時に助けに行けないでしょう。」
ゼデとクラリス、それからナイクとガウラはギルド長室に呼ばれた。
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