蒼穹のゼデ

第26話 錬金術1

「ふーん、君には魔胞みたいにラプトを体内に持つ器官があるんだ。」

ゼデを眺めてコージは興味深そうに目の前の表示を見る。

鑑定スキルをメガネ型の魔道具にしたのだけれどまさかこれを販売する事は出来ない。

便利だけどね。

ゼデが首に巻いているプミタス特有の装備プミルを見て驚いた。

通常プミルとラプトは魔法回路を通じてシンクロさせて使うんだけどゼデのプミルにはラプトが融合していて全く別のものになっていた。

その上体内にもラプトがあってこれもプミルにつながっていた。

これならゼデがその気になれば機体がなくてもかなりの距離を飛ぶことも出来るかもしれない。

コージはその仕組みを調べて新しい魔道具に活かせないかと考えている。

王宮図書館にはそれっぽい記述はあったのだけど異大陸の古代文明だとも言われて現在ではロストテクノロジー扱いになってしまった。

でも、そのロストテクノロジーが目の前にいる。

「ゼデは普通にしていてくれたらいいからね。」

とはいえコージ ストレイフ子爵は貴族なので平民のゼデとしては緊張してしまう。

貴族相手の作法なんか知らないしどんな失礼をやらかしてしまうかとドキドキする。

「お腹空いたー。」

何故か一緒に猫舌屋に残ったナイクが声を上げる。

あー、こらこらそんな不躾な。

「これたべろー。」

猫耳のカチューシャをつけた子供が串焼き肉の半分食べた串を差し出してくる。

「マヨネ、あげるんならこっちの新しい方をあげて。」

黒猫風のスレンダーなお姉さんが言う。

「チャオさん今日は人型なんだね。」

チャオはこの世界でも珍しいケットシーコージのお姉さんの様な存在。
日頃は猫の姿でお店の商品棚の上で寛いでいたりしている。

見たところチャオさんもマヨネさんも、もの凄いステータスをしている。

しかもマヨネさんはゴーレム？

なんでも勇者と大魔法師が趣味で作ったそうだ。

ただ、作ったのはいいけれど自分達には面倒見きれないので錬金術師だけれど冒険者として素材集めをするコージの護衛として押しつけたみたいだ。

ひどいね。

店員のトラとハチは接客が苦手なコージが作った。

猫耳としっぽがついているのはコージの趣味っぽい。