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第53話 悪魔へルフィグラ
しおりを挟む「ユリアー。こんなんどーやって倒すのー。」
真っ黒に赤い唐草模様みたいなのが全身にある。
人型をしているけれど牛みたいな角とトカゲみたいな尻尾。
飛べるのかどうかはわからないけれどコウモリみたいな翼もついていて見るからに悪魔って感じ。
「だからメニュー表示の左下にあるチュートリアルを読んどきなさいっていっつも言っているじゃないの。」
やっぱりユリアも転生者なんだ。
普通は鑑定でメニュー表示してもチュートリアルなんかない。
「頭....、あーっと頭使えって言うとあんたってば頭突きしちゃうから頭は使わなくていいから剣を使いなさい。」
ウツミはインベントリからミスリル剣を取り出す。
「それじゃなくて聖属性付与がしてあるやつを使うのよ。あいつらには聖属性しか効かないからね。」
そんなのユリアだって持っているじゃないか。
「じゃあとっておきの奴を出すか。」
ウツミは転生した時からインベントリに入っていた勇者の剣を取り出した。
それにしてもこの悪魔なんで待っているんだろう。
なんか漫画のヒーローが変身している間じっと待っている悪役みたいだ。
それじゃあ、オレも。
「世界に仇なす悪魔めー。勇者の剣で成敗してやろー。」
剣を掲げてポーズをとった。
どうだ、かっこいいだろ
「きゃー。恥ずかしいからやめてー。」
え、なんか変か?
「まーてまーて、おまえそれでこの私を斬るつもりなのか?」
「あら、この悪魔しゃべった。」
「そりゃ、話しぐらいするだろ。悪魔ってのはなー、神と対極する存在って言うぐらいだからおまえ達人族よりずっと高度な知性体なんだから。」
ふーん、そうなんだ。
「あんた、俺たちを殺したり、食べたりするんじゃないの?」
「決めつけはよくない。おまえってば見た目で判断してないか?」
「それはある、だって怖ーいし、気持ち悪いかっこしてるし。」
「おまえ達も一皮剥いたら似たようなもんなんだけどな。んーこれならどーだ。」
へルフィグラはナイスバディのきれいなお姉さんになった。
ただちょっとでかい。
「スケール感がちょっと。」
「面倒くさい奴だな。これでどーだ。」
ちょうどいい大きさになった。
「ナイスです。で憑依したおっさんはどうなるん?」
「あー、もういらないかな。」
このおっさん悪魔の力が使えるって思っていたんだろうな。
へルフィグラがぶれて見えたかと思うと、かなりやつれたアグェスタス公爵が分離して、ぱたりと倒れ込んできた。
「死んだの。」
「ちょっとこいつの生体情報を分けてもらっただけだよ。」
へルフィグラが簡単に言う。
「あんた達、何ぐだぐだやってんのよ。」
ユリアがしびれを切らしたようだ。
「だってこいつ、闘う気が無さそうだし。」
「だったらなんで出て来たのよ。」
「この男が私の器を壊したからだけど......?私はヴローグズの奴にあの玉に封じられたのよ。」
だんだんと声も話し方もお姉さんっぽくなって来た。姿かたちって関係するんだろうか。
「グローヴズ卿にはなんで封じられたの?」
「あいつったらひどいの、プリンに惹かれてあいつの城の冷蔵庫を漁っていたら、『珍しいのがいる。』っていきなり封じられたのよ。」
あんたはネズミか?
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