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第52話 反逆

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盗賊達を駆逐すると王様の隊列は何事もなかったように王都へと進む。

王様は別に慌てた様子もない。

王都に着き馬車はそのまま王城に入り王様は笑顔のままウツミ達を引き連れて謁見の間に入って行く。

召喚された時は祭殿以外には行かずにミュツスに連れられて出たので城内っぽい感じはなかったからウツミにとっては物珍しくて楽しいようだ。

遠足みたいなものだ。

広々として天井も高い。
権威を見せるためにだろう荘厳な雰囲気がある。

迎えに並ぶ諸侯の中には見るからに挙動のおかしな者がいる。

「アヴェスタス卿よ失敗したな。残念ながら私は生きているぞ。」

王様がその挙動のおかしな男に言う。

「キフェル親王はこの事を承知か?」

「な、なんの事でしょう。」

その受け答えじゃさらにあやしさ満点だよ。

「卿がキフェル親王を担ぎ上げるためにこの度の事を企んだ事はわかっている。だがまさか勇者を同行してくるとは思わなかったのだろう。」

アグェスタス公爵は居直ったのかふてぶてしく言い返す。

「事なかれ主義で国の発展の邪魔にしかならぬ王などいらぬのじゃ。」

わー、王様に面と向かって言っちゃうんだ。

「どうせもう私には後がない、だがこれで終わりではないぞ。」

言うなりアグェスタス公爵は手に持っていたテニスボールぐらいの球体を握り潰した。

球体からは真っ黒な煙が上がる。

「なんだ、あれ。」

「あー、あれは。」

王宮筆頭魔道士トロイムが説明しようとして叫ぶけどそれより速く結果が出てしまった。

球体から出て来た黒い煙がアグェスタス公爵の体にまとわりつくと公爵の体がブクブクと膨れ上がる。

卿はなんかあかんものに憑依されて変質したようだ。

ツノやら尻尾が生えてくるしコウモリみたいな翼まで生えた。

「あー、あれは悪魔へルフィグラを封じていた玉だったんだよ。公爵はへルフィグラに憑依されてしまったんだ。」

トロイムさん、ようやく言えたね。

闇属性の魔力に包み込まれてい

る。

こりゃあ強そうだ。

どうする?

と躊躇しているとユリアに背中を押された。

ユリアが闘うんじゃないの?

「いいからさっさと倒せ。」

ユリアが簡単に言う。
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