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第51話 王都へ2
しおりを挟むいくらなんでも王様の馬車の隊列にちょっかい出すやつはいないだろうと思ったけれど意外とそうではないようだ。
確かに見た感じ王様の戦力としては10人の騎士がいるぐらいなので100人近い数で襲えば力押しできると思ったのだろうか。
盗賊らしき男達が100人以上の集団となって馬車を取り囲んでいる。
騎士達は既に臨戦体制になっている。
男達の集団は盗賊然としているが少し後ろにいる者たちは変に装備が良く、また訓練されている様に見える。
それでもこちらには剣聖トゥルムや剣王ミュツス、その上勇者の孫ユリアまでいるのだから完全にオーバーキルだ。
まさかそんなのが同乗しているなんて想像できないだろうから彼らは間違ってはいないのだけれど。
「馬車や持ち物を置いていけ、命だけは助けてやる。さっさと降りてこい。」
と盗賊らしい事を言う。
だがノコノコと武装解除して出ていけば皆殺しだ、そう言う奴らなんだ。
ユリアの目付きが変わった。
唇を横に伸ばしてニンマリと笑う。
「うふふふ、悪い奴らは成敗してあげないと。くくく。」
こりゃあどっちが悪者かわからない表情だよ。
ユリアが馬車から出る。
「いーひひ。かわいいお嬢ちゃんが出てきたじゃねえか。うーひひ。おじさんが可愛がって....。」
せっかちなユリアはおじさんに最後までは言わせてあげないようだ。
ユリアの手刀でおじさんの首が飛んでいった。
「なんだこいつ。」
と声をあげた男の首もその後について行った。
剣聖トゥルムや剣王ミュツスはただ立っているだけに見えるのだが周囲の男達のクビがポンポン飛んで行く。
ウツミはと言うと取り囲んだ男達が逃げられない様に取り囲む形に結界を張って徐々にすぼめていっている。
まあ闘う出番も無さそうだし。
そう思っていたらユリアに盗賊の真ん中に放り出された。
「ぼーっとしてないであんたも闘うのよ。」
スパルタなんだから。
仕方がないので剣を振り回す。
盗賊が向かってくるけれど魔物とは違って全然手答えがない。
まあ盗賊相手でもドロップアイテムこそないものの経験値は入ってくるからいいか。
テルファお嬢様は最近自分にも魔力がある事に気がついて魔法は勉強中だけど魔導具(アーティファクト)を使う様になった。
アーティファクトって言うのは元から魔力を充填していたり自分で魔力を流し込んで稼働させる道具。
結構高いんだけどハプネス子爵はお金持ちだからね。
それでお嬢様も楽しげにストーンビュレットを放つ拳銃の様な魔導具を乱発している。
結局は個々の戦闘力が低い盗賊達が戦術もない状態では多少の数が集まったところで相手にはならない。
少しは練度の高い者もいた様だが相手が悪すぎた。
たちまちの内に殲滅してしまった。
それにしても一部のもの達の装備が盗賊にしては良すぎる。
どこからか盗んで来たのだろうか?
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