47 / 54
第47話 ロックドラゴン討伐1
しおりを挟む「だーかーらー、頭を使えって言ってるじゃない。」
相変わらずユリアは見物がてらヤジを飛ばしてくる。
ユリアが勝手に依頼を受けたのに。
ガキンっとロックドラゴンに剣を弾かれる。
硬くて全然刃が通らない。
こいつは動きは遅いのだけれど防御力がバカみたいに高い。
目を狙ってもそこだけ敏感に反応して瞼をおろされると超硬いし、弱いと考えがちな関節も鱗が被さっていて狙えない。
そして頻繁に撃ってくる超高温のブレス。
当たるとただではすまないだろう。
ロックドラゴンとは言っても翼があるわけでもなくどちらかと言うとでっかいトカゲ、ただし表皮が岩石の様でとてつもなく硬い。
少し前。
ギルド長が言うにはこのダンジョン街の近くにある採石場をロックドラゴンがうろついていて石工達が仕事にならないとぼやいていると言う。
で討伐依頼が出ているがこの依頼に合うレベルの冒険者がこのギルドにはいないらしい。
そんなところにユリアが現れたので渡りに船ってところだ。
「おう、それはウツミは受けるぞ。」
「いやいや、オレのレベルには見合わんだろう。ユリアが受けたらいいじゃないか。」
「練習、練習だよウツミ。あいつの肉絶品なんだよ、うまいぞー。」
オレ、死んじゃうぞ。
「だーかーらー、硬くて刃が通らないんだから剣で叩いていないで頭を使えっての。」
外野でユリアがうるさい。
頭をどう使うってんだ。
「ウツミー。バカー。頭使えって言っても頭突きするんじゃないっていつも言ってるだろう。」
ミュツスが笑っている。
ミュツスやテルファお嬢様はすっかりこの状況に慣れた様だ。
「あれ?ファイアーボールが発動しない。」
練っていた魔力がかき消されてしまった。
「いきなり焼いちゃったら味が落ちるからダメ。」
ユリアがオレの魔法をジャミングしたのか?そんな事出来るんだ。
「じゃあフローズンで凍らせたらどうかな?」
「それもダメ、いきなり冷凍肉って美味しくなくなっちゃう。」
いや、まず倒さないと食べるも何もないじゃんか。
「じゃあどうすんだよ。」
だいたいゲームじゃ後で食べるなんてないしドラゴンの弱点なんかわからないからだいたい力押しみたいなもんだったし。
「あんた、先に鑑定して対策してから攻撃しないと強い個体には勝てないわよ。」
ユリアみたいな化け物級の奴に言われてもな。
その間もロックドラゴンが放つブレスを必死でかわし続ける。
「ちょっとはステータスメニューのガイダンスぐらい読んだらロックドラゴンの弱点ぐらい載ってるのに。」
ユリアうるさい。だったら教えてくれたらいいだろう。
「もう、全然考えないのねあんたは。腹の方には鱗がないから刃が通るわよ。」
呆れられた。
と言ってもこいつぺったり腹の地面につけて這って歩いているから攻撃できないじゃんか。
ちょうどここの地形は片側が崖の様になっている。
ウツミは崖を駆け上がってヘイトをとる。
うまい具合にロックドラゴンが崖を登ってオレを追う為に上体をもたげてくれた。
僅かだけれど腹と地面に隙間が出来たところに潜り込んでロックドラゴンの腹を切り上げるとするりと剣の刃が通った。
通った刃に魔力を乗せて切り裂くと急所だったのかロックドラゴンが仰向けに倒れた。
まだジタバタしているけれど腹が上を向いているので切り放題になって直に動かなくなった。
「まあまあね。」
ユリアが言う。
あんなに苦労したのにそれだけなんか。
まあそれでもミュツスが頭をなでなでしてくれたからいいか。
オレは子供か。
子供だけれど。
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
異世界転生してしまったがさすがにこれはおかしい
増月ヒラナ
ファンタジー
不慮の事故により死んだ主人公 神田玲。
目覚めたら見知らぬ光景が広がっていた
3歳になるころ、母に催促されステータスを確認したところ
いくらなんでもこれはおかしいだろ!
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?
闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。
しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。
幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。
お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。
しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。
『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』
さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。
〈念の為〉
稚拙→ちせつ
愚父→ぐふ
⚠︎注意⚠︎
不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
伯爵家の次男に転生しましたが、10歳で当主になってしまいました
竹桜
ファンタジー
自動運転の試験車両に轢かれて、死んでしまった主人公は異世界のランガン伯爵家の次男に転生した。
転生後の生活は順調そのものだった。
だが、プライドだけ高い兄が愚かな行為をしてしまった。
その結果、主人公の両親は当主の座を追われ、主人公が10歳で当主になってしまった。
これは10歳で当主になってしまった者の物語だ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる