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第36話 勇者?

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「俺、あんな子供、他所でも見た事ある。」

ウツミにぶちのめされた冒険者の1人が仲間に話し始める。

「こっちの国にくる以前はカルナガリア王国にいたんだ。もう20年ぐらい前だったと思う。いやーもっと前かな?確かフエツの町の冒険者ギルドだったと思う。」

「おまえいったい何歳なんだ?」

冒険者がひと所にとどまらずいろんな国を渡り歩くのは珍しくない。

ドルツリア大陸の冒険者ギルドは国家を越えて連携しているし冒険者もギルドカードを拠り所として国籍にとらわれる必要がない。

「あの時も小さな子供がさー、やっぱり女騎士みたいな姉ちゃんに連れられてギルドに来たんだよ。」

「ふーん、おんなじだな。」

仲間が相槌を打つ。

「でよー、若い冒険者がその子供によー、なんだったか忘れたけどいちゃもんをつけたらよー。」

「おう。」

「腹が立ったんだろうな、子供がすたすたと若い冒険者に近づいてテーブルをちっちゃな手でぺしゃって叩いたんだ。」

「ふん。」

「だらよー、テーブルがドゴーンとか鳴って真っ二つに割れちまった。」

「そらもー、ギルドで昼間っからエールくらってた冒険者もその若い奴も顔面蒼白よー。」

「はーん。」

「たまげたぜー。」

「なんでも後で聞いた話しじゃ王家で召喚した勇者だったってよー。」

「そんじゃあよー、あの坊主も勇者だってのか?」

「いやー、勇者召喚ってのは200年に一度だって聞いたぜ。」

聞き耳を立てていた別の冒険者が口をはさむ。

「勇者の召喚陣ってのは各国にあるみたいだぜ。」

「そんなにあっちこっちに勇者がいたら面倒くさくないか?」

「さあな、実際にはどうなのか誰も知らないぐらいだからたいしたことじゃないんじゃないか?」





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