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第22話 唐揚げ

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クグルイア伯爵邸に帰るとハブセス子爵のテルファお嬢様と侍女達が待ち構えていた。

なんでテルファお嬢様が伯爵邸に?

おおかた勇者と縁を結んでおけば家の権威になるだとか勇者の子でも授かればなどと言う子爵様の企みなんだろう。

けれどオレはまだ全然ちっこいのでそんな事の役には立たないと思うけれどな。

一応生活魔法のクリーンで綺麗にはなっているけれどまだリペアの魔法が使えるわけじゃないので鎧はボコボコにへこんでいるし、襟首や袖口から出ているシルクのフリルはぼろぼろだ。

それでも侍女達は腕の振るいどころと、嬉々としてウツミを抱き上げて浴室に運んで行く。

「オレよりもミュツスお嬢様が先じゃないのか?」

「大丈夫です。お嬢様のお世話をする侍女もいますから。」

だけど浴室は一つだと思うけど。

ウツミはすぐに鎧を外され服を脱がされる。

さすがに毎日のことなのでそれには慣れたが。

「ああ、今日は私が頭を洗ってあげる。」

既に裸になっているミュツスが侍女からウツミを取り上げる。

「わたし、わたしにやらせて。」

と、これもまたすっぽんぽんのテルファお嬢様がミュツスに言う。

高貴なお方と言うのは日頃から着替えなどのお世話をされるのが当たり前になっているのでこういう事での羞恥心が薄いらしい。

だがウツミは元は思春期の少年だし高貴でもなんでもない育ちなので恥ずかしくてたまらない。

全然慣れない。

しかし好奇心はある。

見ていいのやらダメなのやらでドギマギしている。

「こんなにちっこいのに何恥ずかしがってんのよ。」

「やめてー。体は自分で洗うしー。」

「いい加減にしか洗わないからダメよ。」

「そんなとこつまんじゃダメー。」

ユリアの奴はマイペースで浴槽でバシャバシャ泳いでいる。

その後侍女とテルファお嬢様によるコーディネート大会で着せ替え人形をやって、夕食となる。

もちろんメインの料理は勇者の孫ユリアのリクエストでワイバーンの唐揚げ。

うまい、前世の鶏の唐揚げと遜色ない。

厨房でユリアが作り方をシェフに教えたらしい。

もしかするとユリアも転生者なのかもしれない。

夕食を済ませてようやく自室に(と言ってもミュツスの部屋だけれど)戻って一息つく。

明日こそは中級ダンジョンにいって探索を楽しもう。

その前に武具屋に行かないと。






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