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第19話ゴブリンキング

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とにかくでかい。

通常のゴブリンの5倍ほどの大きさででかい大剣を持っている。

多分冒険者から奪ったものだろう。

こいつがいる事で他のゴブリン達もある程度統率された動きを取れていたのだろう。

ミュツスがトゥルムやユリアを制している。

オレにやってみろって事だろう。

今のオレのレベルでもゴブリンキングとやり合えるって事?

ドンっとゴブリンキングの大剣がオレのすぐそばに振り落とされる。

あれをオレの持つ鉄剣で受ける事は出来ない。
たちまち砕けてしまう。

ゴブリンキングの剣は大ぶりだけれど意外と速い。

ブンブンと耳元を大剣が掠めて行くのは結構怖い。

ゴブリンキングが大剣を振り切った隙を見て跳躍する。

首元を狙って鉄剣を振るが思いの外、固くて刃が通らない。

「だからもっと良い剣にしておきなさいって言ったのよ。」

ミュツスが呟くのが聞こえる。

ってそんな事は承知の上さ。

何度も同じような隙を見せてくれるのが大きくてもゴブリンレベルの都合がいいところなんだ。

再度跳躍して今度は鉄剣を突き立てる。

なんとか鉄剣の剣先が皮膚の下に潜り込むが首を振られた事で鉄剣がポッキリと折れてしまった。

ゴブリンキングは棘が刺さったようで気持ちが悪いのか首を振ってもがいている。

レベルが上がって使えるようになった雷魔法のサンダーを試して見る。

サンダーは首に刺さった鉄剣の剣先を目指して吸い込まれるようにゴブリンキングに当たった。

まだたいして強くもない魔法だけれど鉄剣の破片が避雷針のようになって効き目は抜群だった。

ゴブリンキングは目や鼻、口から黒煙を上げて倒れた。

ピコンっと言ってレベルが26に上がった。

「まあまあね。」

剣聖トゥルムが首をすくめる。

「ミュツスは厳しいね。ちょっとは褒めてあげればいいのに。」

「ダメよ、ウツミはすぐに調子に乗るから。」

「それに人の言う事聞かないしね。」

ユリアがかぶせて来る。

まあ、その通りなんだけど。

ウツミがゴブリンキングと闘っている間に冒険者達がゴブリンのメスや子供を全て殺してしまった。

非情なようだけど残しておくとすぐに大人になるし増える。

可哀想などと情をかけても彼らには伝わらない。

「結構稼いだんじゃないか。」

などと笑っている冒険者の感覚の方がこの世界では普通なんだ。

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