36 / 39
第36話 下剋上
しおりを挟む「魔王おまえどこでもノコノコと自分で出て行くんか?」
エルフの里長が呆れている。
「少しは任せてもらえん部下の気持ちを考えろバカ。また勇者に首チョンパされてしまうぞ。」
言いたい放題言われた。
バカだって。
バカだって。
バカバカバカバカ。
イヤー。
思い出してイライラしながら魔王城の中庭を歩いていた。
「おまえが魔王?こんなちびっこいのが?」
見かけは14-15歳ぐらいだろうか魔族の少年がつっかかってくる。
「本当に強いのか?」
いきなり闇属性の重力魔法を放ってくる。
速度、収束状態、力も申し分ない。
だけどそれは常識の範疇での事。
魔王マヨルには効果がない。
「こら、おまえいきなりはあかんやろ。」
「しかもオレに闇属性は効かないのはわかっていただろう?」
「俺はまだ生まれてから700年ほどなんだ。」
「1000年以上も前に勇者に首チョンパされたおまえがどの程度強いのか知りもしない。」
「だから魔王だってだけでおまえに従うつもりはない。」
そりゃそうだ。
オレは生まれた時から魔王だった。
誰かに魔王にされたわけじゃない。
納得出来なきゃオレを殺してそいつが魔王になればいい。
そいつは空中に広げたインベントリの裂け目から光属性を纏わせた大剣を引っ張り出した。
「ここで本気で魔法でやりあったら魔王城が吹き飛んでしまうだろう?」
いや、魔王城はそんなにやわじゃないけれどね。
光属性の魔剣なんてはじめて見た。魔剣というより聖剣だね。
魔族が聖剣なんて笑っちゃう。
それならオレを切る事ができるかもしれないな。
当たればだけれど。
さすがにじっとして切られるのを待つわけにいかないのでオレも頭上に剣を召喚する。
「久しぶり、まだ剣を使うことなんてあったんだ。」
神剣デベラチルショヤが半分寝ていたみたいな声を出す。
魔王が神剣っていうのもどうかしているけどね。
「おまえ、名前は?」
「名前を聞くならまず自分から名乗るのが筋じゃないのか?」
言ってやったと言う顔をしていやがる。
おまえオレが魔王だって知っていて突っかかって来たんだろうが。
「魔王フーハ ズーネヨマだよ。」
え、答えるの?って顔をしている。
面倒くさいからね。
「お、俺はアグマルカだ。」
ああ魔族のええとこのボンボンか。
ケチャプ家は古くから魔王に仕える一族だ。
戦うことより領地経営の手腕に優れている一族だったと思う。
「若いわりによくやるじゃないか、ここでオレに殺されなければまだ伸びるだろう。」
「うるさい。偉そうに。」
思っていた以上に早く大剣を振り回せるようだ。
ドーンと音を立ててソニックブームがマヨルを襲う。
だがマヨルは何事もなかったかのようにアグマルカの剣の動きに沿わせて神剣デベラチルショヤを突き出す。
神剣はスルリとアグマルカの脇腹を裂く。
「ふーん、殺さないんだ。マヨル甘くなったね。」
デベラチルショヤは意外そうに言う。
パタリと倒れたアグマルカに近づいてヒールをかける。
「その剣の言う通りだ魔王、その甘さで俺達を率いていけるのか?」
「へたばっているおまえに言われる事じゃない。」
オレは率いるつもりなんかない。
居たいやつだけ居ればいいし、そいつらぐらいは守ってやろう。
「もう終わりなんだ。」
デベラチルショヤは不満そうだが一瞬神化して少女の姿を見せるとニヤリと表情を崩して消えた。
「ふん、負けたものは仕方がない。魔王だって認めてやるよ。」
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
【完結】魔王様、溺愛しすぎです!
綾雅(ヤンデレ攻略対象、電子書籍化)
ファンタジー
「パパと結婚する!」
8万年近い長きにわたり、最強の名を冠する魔王。勇者を退け続ける彼の居城である『魔王城』の城門に、人族と思われる赤子が捨てられた。その子を拾った魔王は自ら育てると言い出し!? しかも溺愛しすぎて、周囲が大混乱!
拾われた子は幼女となり、やがて育て親を喜ばせる最強の一言を放った。魔王は素直にその言葉を受け止め、嫁にすると宣言する。
シリアスなようでコメディな軽いドタバタ喜劇(?)です。
【同時掲載】アルファポリス、カクヨム、エブリスタ、小説家になろう
【表紙イラスト】しょうが様(https://www.pixiv.net/users/291264)
挿絵★あり
【完結】2021/12/02
※2022/08/16 第3回HJ小説大賞前期「小説家になろう」部門 一次審査通過
※2021/12/16 第1回 一二三書房WEB小説大賞、一次審査通過
※2021/12/03 「小説家になろう」ハイファンタジー日間94位
※2021/08/16、「HJ小説大賞2021前期『小説家になろう』部門」一次選考通過作品
※2020年8月「エブリスタ」ファンタジーカテゴリー1位(8/20〜24)
※2019年11月「ツギクル」第4回ツギクル大賞、最終選考作品
※2019年10月「ノベルアップ+」第1回小説大賞、一次選考通過作品
※2019年9月「マグネット」ヤンデレ特集掲載作品
異世界へ誤召喚されちゃいました~女神の加護でほのぼのスローライフ送ります~
モーリー
ファンタジー
⭐︎第4回次世代ファンタジーカップ16位⭐︎
飛行機事故で両親が他界してしまい、社会人の長男、高校生の長女、幼稚園児の次女で生きることになった御剣家。
保険金目当てで寄ってくる奴らに嫌気がさしながらも、3人で支え合いながら生活を送る日々。
そんな矢先に、3人揃って異世界に召喚されてしまった。
召喚特典として女神たちが加護やチート能力を与え、異世界でも生き抜けるようにしてくれた。
強制的に放り込まれた異世界。
知らない土地、知らない人、知らない世界。
不安をはねのけながら、時に怖い目に遭いながら、3人で異世界を生き抜き、平穏なスローライフを送る。
そんなほのぼのとした物語。
ドマゾネスの掟 ~ドMな褐色少女は僕に責められたがっている~
桂
ファンタジー
探検家の主人公は伝説の部族ドマゾネスを探すために密林の奥へ進むが道に迷ってしまう。
そんな彼をドマゾネスの少女カリナが発見してドマゾネスの村に連れていく。
そして、目覚めた彼はドマゾネスたちから歓迎され、子種を求められるのだった。
辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します
潮ノ海月
ファンタジー
旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる!
トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。
領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。
アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。
だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう
完全に手詰まりの中で、アクスは日本人として暮らしてきた知識を活用し、さらには領都から避難してきた獣人や亜人を仲間に引き入れ秘策を練る。
果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!?
これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる