千年王国 魔王再臨

yahimoti

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第36話 下剋上

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「魔王おまえどこでもノコノコと自分で出て行くんか?」

エルフの里長が呆れている。

「少しは任せてもらえん部下の気持ちを考えろバカ。また勇者に首チョンパされてしまうぞ。」

言いたい放題言われた。
バカだって。
バカだって。
バカバカバカバカ。
イヤー。

思い出してイライラしながら魔王城の中庭を歩いていた。

「おまえが魔王?こんなちびっこいのが?」

見かけは14-15歳ぐらいだろうか魔族の少年がつっかかってくる。

「本当に強いのか?」

いきなり闇属性の重力魔法を放ってくる。

速度、収束状態、力も申し分ない。

だけどそれは常識の範疇での事。

魔王マヨルには効果がない。

「こら、おまえいきなりはあかんやろ。」

「しかもオレに闇属性は効かないのはわかっていただろう?」

「俺はまだ生まれてから700年ほどなんだ。」

「1000年以上も前に勇者に首チョンパされたおまえがどの程度強いのか知りもしない。」

「だから魔王だってだけでおまえに従うつもりはない。」

そりゃそうだ。
オレは生まれた時から魔王だった。
誰かに魔王にされたわけじゃない。

納得出来なきゃオレを殺してそいつが魔王になればいい。

そいつは空中に広げたインベントリの裂け目から光属性を纏わせた大剣を引っ張り出した。

「ここで本気で魔法でやりあったら魔王城が吹き飛んでしまうだろう?」

いや、魔王城はそんなにやわじゃないけれどね。

光属性の魔剣なんてはじめて見た。魔剣というより聖剣だね。

魔族が聖剣なんて笑っちゃう。

それならオレを切る事ができるかもしれないな。

当たればだけれど。

さすがにじっとして切られるのを待つわけにいかないのでオレも頭上に剣を召喚する。

「久しぶり、まだ剣を使うことなんてあったんだ。」

神剣デベラチルショヤが半分寝ていたみたいな声を出す。

魔王が神剣っていうのもどうかしているけどね。

「おまえ、名前は?」

「名前を聞くならまず自分から名乗るのが筋じゃないのか?」

言ってやったと言う顔をしていやがる。

おまえオレが魔王だって知っていて突っかかって来たんだろうが。

「魔王フーハ ズーネヨマだよ。」

え、答えるの?って顔をしている。

面倒くさいからね。

「お、俺はアグマルカだ。」

ああ魔族のええとこのボンボンか。
ケチャプ家は古くから魔王に仕える一族だ。

戦うことより領地経営の手腕に優れている一族だったと思う。

「若いわりによくやるじゃないか、ここでオレに殺されなければまだ伸びるだろう。」

「うるさい。偉そうに。」

思っていた以上に早く大剣を振り回せるようだ。

ドーンと音を立ててソニックブームがマヨルを襲う。

だがマヨルは何事もなかったかのようにアグマルカの剣の動きに沿わせて神剣デベラチルショヤを突き出す。

神剣はスルリとアグマルカの脇腹を裂く。

「ふーん、殺さないんだ。マヨル甘くなったね。」

デベラチルショヤは意外そうに言う。

パタリと倒れたアグマルカに近づいてヒールをかける。

「その剣の言う通りだ魔王、その甘さで俺達を率いていけるのか?」

「へたばっているおまえに言われる事じゃない。」

オレは率いるつもりなんかない。

居たいやつだけ居ればいいし、そいつらぐらいは守ってやろう。

「もう終わりなんだ。」

デベラチルショヤは不満そうだが一瞬神化して少女の姿を見せるとニヤリと表情を崩して消えた。

「ふん、負けたものは仕方がない。魔王だって認めてやるよ。」






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