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第31話 エドワンク王
しおりを挟む「退屈だー。」
あいつら俺がダンジョンに遊びに行っている間に置いて行きやがった。
「あーっ、獣人族の里のうどん食べたかったなー。」
王宮の中庭に寝そべって雲が流れて行くのをボーっと見ている。
「ダンジョンのそばのうどんと違うのか?」
なぜか王宮にエドワンクの学校の取り巻きがいる。
遊び友達が家に遊びにきているっていう感じ。
「あそこのうどん屋も里の水を使って麺を打ったり出汁を作っているらしいから里の味を再現していると思うけどね。」
「エドは獣人族の里に行ってたくさんの猫耳姉さんに会いたいだけじゃないのか。」
「否定出来ない。」
「今は危ないよ。」
取り巻きの1人が言う。
「獣人族の里に人攫いの討伐に行っていたエウルチグ国軍が壊滅しているし、エウルチグ通商連合国も魔王に滅ぼされたらしいよ。」
世間では魔王が復活して侵攻を始めたとのもっぱらの噂。
エドワンクのところにも議会から軍備の拡充の稟議書が回って来ていた。
エドワンクは違和感を感じている。
魔王が侵攻?
魔王はそんな事に興味がある存在じゃない。
それはおばあちゃんからの話しでもあるけど何千年も前から変わっていないみたいだ。
人族の一部の人間が金儲けのためにやらかしている。
「でもなー。気持ちわかるよな。勇者がいて一切国境を広げるような軍事行動は出来ないし、軍はあっても魔獣や災害対策ぐらいにしか使えないからなー。」
停滞する社会、ぬるま湯に使っているような居心地の悪さがある。
何か破壊衝動に突き動かされてしまうような.....。
でも勇者は王家も侵略も許さない。
世の中にあってはいけないような圧倒的な力。
それが勇者。
軍備の拡充を抑えることはエドワンク王にも出来ないだろう。
エドワンクは国政を議会と執政官に任せている。
たまに重大な事の決裁書に目を通すぐらい。
日頃は取り巻き達と遊んだいる。
だがその事でエドワンクを怠惰だとか無能だという者はいない。
議会や実際の有能な施政者達は自分たちが国政を任されている事を誇りに思っているのだから。
任せると言う事が出来る王を尊敬こそすれ批判する事などない。
エドワンク王は子供だし駄々を捏ねて大人を困らせない良い子ってところ。
ただこの頃、目の届く範囲だけれど魔族や獣人族などの亜人種を見かける事がなくなっている。
王宮でも学校でも亜人種達が里に帰るとかで去ってしまった。
侍女の話しでは市井でも同じで今では亜人種を探す方が難しいそうだ。
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