千年王国 魔王再臨

第24話 魔王核の欠片1

授業で興味深いのはドルツリア大陸史ぐらいだろうか？

1000年のブランクがあるし人族視点なので聞いていて面白い。

復活してから10年。
一応年齢は10歳、体は人間の6歳程度の大きさしかないけど。

寿命がないし何千年もかけて育つためなのか成長が遅いのだとスー達が言っていた。

1000年前は20歳ぐらいの青年の姿だったと思う。

あれくらいになるのにそんなに年月がかかったかな？

飛び散って見つからない魔核もあったらしいからそのせいでもあるんだろう。

魔核を見つけるようなレーダーみたいな都合のいい物は無いのかな？

「マヨル、何ぼーっとしているのよ。」

なんで勇者が魔王の隣に座ってんのかな？

きっとずーっと見張っていてその内人族の都合の悪い事をしそうになったら首チョンパするつもりなんだ。

あの時だって突然現れて問答無用で聖剣で首をスパーっだったし。

こわー。

どうにかしてこいつから離れる事を考えないといつか死んでしまう。

「あんたドルツリア大陸史の授業以外はだいたいぼーっとしているのね。」

そりゃ魔法学も剣術もこっちが教えてやりたいぐらいだし、算術や古代語も今さら習う様なことでも無い。

体は小さくても中味は何千年も生きた魔族だからな。

それよりも気になるのは３つほど前の席の獣人だ。

耳がぴこぴこ動いて、尻尾が教師の話しに合わせて左右に揺れている。

猫だ、猫だよね。

視線を感じたのかくるりと振り向いて鋭い目でこっちを睨む。

耳がピンッと立っている。

視線の主がマヨルだと気がついた途端に耳がぺたんと倒れて目つきがふにゃーっと和らいだ。

パッと消える。

ストンと勇者とマヨルの間に落ちて来て座る。

素早い。

「魔王様ー、何かご用かニャー。」

「ふにゃー。ダメー。」

「マヨルってば、いきなりしっぽつかんじゃダメだよ。」

勇者とは反対側のマヨルの隣に座っていたジャッドが言う。

「まったく、獣人のお嬢様のしっぽを掴むなんてありえないだろう。」

なんだエドワンクまで言うのか？

いや、すまん、ついうっかり掴んでしまった。

「魔王様ぷよぷよでちっこいなー。」

なんだー。お互い様かー。

立ち直った猫獣人族がマヨルを抱えてほっぺたをつまんでいる。

「そのペンダントはどうしたの？」

マヨルは猫獣人族の胸にぶら下がっているペンダントに触れようとする。

「これは昔から猫獣人族に伝わるお守りよ。村にいくつかあるよ。」

猫獣人族の名前はメイラ、族長の娘。

メイラはペンダントを外してマヨルの手のひらにのせる。

途端にペンダントトップの赤い石が光始める。

何かがマヨルの体に吸い込まれていく。

目の前にメニュー表示が現れていくつかのスキルが解放された。

スーとガー、そしてキューの３人がマヨルの周りに現れる。

魔王の魔力の変化を感じとって転移してきたのだ。

「あーっ、魔王核の欠片！！」

スーが叫ぶ。

「やっぱり。」

メイラがうなずく。

「どうでもいいけどまだ授業中よ。」

魔法学の先生が呆れている。