千年王国 魔王再臨

yahimoti

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第23話 スックル

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「マヨルー学校行こー。」
ジャッドことユーリハ伯爵家のシャデリーヌお嬢様がエリミリア聖教会の前で叫んでいる。

大陸の北端にある魔王城とエリミリア聖教会は転移陣でつながっている。

マヨルとエリアは学校がある日なので今日は教会にいた。

ジャッドはフリルいっぱいのお嬢様服に手甲とブレストアーマーをつけて大剣を背負っている。

「なんだそのカッコ?違和感が半端ないんだけど?」

「お父様がどうしても着ていけって言うから、でも剣も持って来たから問題なし。」

お父様の意図が台無しだね。

「マヨル、エリアと結婚したのか?」

エリアが赤い顔をしてうなづいている。

まぎらわしいからやめろ。

「そんなわけないだろ、まだ子供だぞ。」

ひょいとジャッドがマヨルを抱え上げる。

「うふふ、そうだよね。でもマヨルって大きくなるの?」

「多分。」

だけど同級生を抱え上げるのはどうかな?

既に学校でも魔王と勇者って事はばれてしまっているので下手に絡んで来るバカはいなくなった。

と思ったがそうでもなかった。

「おい、マヨルお前そんなちびっこいのに魔王ってほんとか?名前だけじゃないのか。」

人族の貴族の子か?
良くそれで粛正されなかったな?

公爵家はハイデギアの反乱の時になくなってしまって政権の中枢は5人いる侯爵家が担っている。

こいつはアルカート侯爵家の三男スックルだジョブは魔法剣士でかなり腕に自信があるようだ。

腕の振るいどころがなくてウズウズしているってところだろう。

スックルがマヨルを煽っていると似たような力自慢の子供達が集まってくる。

面倒くさい。

マヨルの魔力が高まって行く。

まとめて片付けてしまおう。

範囲攻撃魔法陣が空中に現れると

「あんた達、まだ、魔族だからっていじめるつもり?許さないよ。」

そういえばマヨルはジャッドに抱えられたままだった。

ジャッドは片手でマヨルを抱えたまま大剣を抜いてスックルに突きつける。

さらにエリアがギロリと集まって来た人族を見回すとスックルの取り巻き達も意気消沈してしまったようだ。

展開しかけたマヨルの魔法陣もかき消えてしまった。

「マヨルに手を出すと許さないよ。」

「なんだ魔王、女の子に庇ってもらうのかー、あいたーっなにすんだセレステ。」

金髪碧眼、典型的な貴族のお嬢様がスックルにゲンコツをくらわせた。

「いいかげんにしなさいスックル、あんた今勇者やシャデリーヌお嬢様に助けられたのよ。わかんないの?バカね。」

あれはアンナステス侯爵家のお嬢様だね。

「ごめんね、こいつバカなだけだから許してね。」

「なんだー。はなせー、いたいー。」

とか言いながらスックルはセレステに耳をつかまれて連れて行かれてしまった。
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