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第13話 政変 1
しおりを挟むそれはまるで予定していた行事のように実行され遂行された。
いつもの宮中行事だった。
王族が一堂に介して第一王子の誕生日を祝っていた。
王宮を守る防護結界がいつの間にか解かれ範囲魔法が使われて王族はエドワンクと第6王子ハイデギア以外は一掃された。
第6王子は病気を理由に欠席していたし、エドワンクは王宮を出されたので参加出来なかった。
ハイデギアは空席となった王座に当たり前のように座り戴冠した。
「前王は魔族共の卑劣な計略によって崩御された。我々は今ここで認識を改めなければならない、やはり人族と魔族は相容れないのだと。」
ハイデギアは演説を続ける。
静まり返った謁見の間と開かれた城の前庭に集まった民衆にそれは語られた。
「魔族による許し難き前王の謀殺、これまで願って来た魔族共生が不可能だと思い知らされた。」
「もはや魔族の住む場所はこの国にはない。人族以外の者は10日以内にこの国を出て行く事をお勧めする。」
民衆が沸き立つ、前王の死の理由には懐疑的でハイデギアを疑う者が多かった。
まあ、あからさますぎるし。
それでも魔族の排斥には賛成する者が多かった。
魔族は長生きで魔力も圧倒的に強いし、さまざまな能力値が人族よりも高い。
良い仕事は魔族が独占しているように思われた。
実際には多くの魔族を含む亜人族と言われた人族以外の者は差別され過酷な仕事にしかつけなかったのだが。
それでも人族にとって魔族は目障りな存在だったのだ。
その魔族を排斥する王を民衆は支持した。
ごうごうと上がる民衆の声、ハイデギアは完全に民心を掌握した。
魔族達はそっとその場を逃れるしかなかった。
それでも舞い上がった人族の民衆に捕まりなぶり殺しにされた魔族は少なくなかった。
「シャデリーヌを呼び戻せ、どうせあの魔族の子の所に遊びに行っているんだろう。」
「急ぎ領地に戻るぞ。」
ユーリハ侯爵は魔族擁護派として有名だ。
極端に魔族排斥に舵をきった現在の政情で王都に留まるのは危険だ。
ユーリハ侯爵は使いの者に声をかける。
「あの魔族の子にも我が領地に来いと声をかけろ。」
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