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第58話 カレーライス
しおりを挟む「やっぱり勇者様は凄かったね。」
サヒルが目をピカピカに輝かせて言う。
うんうんとカブスやシエル達他の施設の子供達が頷いている。
「勇者様には神様や天使様がついているんだ。」
「今回みたいに人には手出しの出来ないものが現れた時には助けに来てくれるんだね。」
勝手にいいように誤解している。
今回ムール達やジュノツマルヤは何もしていない。
現場に行っただけだ。
アスタロトがニコニコして施設の子供達を見ている。
アスタロト様って堕天使のはずなのにすっごく天使っぽい。
他の神様や天使様ってすっごく無関心みたいなのに。
アスタロト様がムールの心を読んだように言う。
「人間や現世に関心を持って干渉するから邪神で堕天使なんだよ。」
「本来なら神や天使は高次元の存在だし、彼らにとって人族や現世の様な低次元の存在や出来事なんかどうでもいいんだ。」
「おまえだってスライムやミミズが何を考えていても苦しんでいても関心が持てないだろう?」
アスタロト様が言っている事から考えると確かに邪神様や堕天使様って異質、逆にありがたくなってきたので「様」付けしました。
ムールの心を読んでアスタロトが苦笑いしている。
「カブス達すごい事してるんだね。」
パエリが言う。
「勇者様が出来るようにしてくれたんだよ。」
「ねー、ねー、勇者様僕達がやっている事って間違っていない?」
サヒルが期待いっぱいの表情をしてパエリを見ている。
「うーん、そうだね、みんなのお腹が空いていなくて、楽しければいいんじゃないかな?」
まあそれはそうなんだけど彼らはもっとすごい事しているよ。
まあパエリだしそれでいいか。
子供達が大喜びしているし。
「やっぱり勇者様はすごいよね。」って言いながらサヒルが肩を組んでくる。
おまえ達の資金や知識や知恵はオレが......。
まあ、そんなこと言っても恥ずかしいだけか。
オレも別に子供達のためじゃなくてパエリに好きなようにさせたくてしただけだし。
「ムール、カレーライスをだしなよ。いっぱいあるんだろう。みんなで食べよう。」
アスタロトが言う。
アスタロト様がオレ達についてくるのってカレーライスが目的なんだろうな。
サーフラが笑ってる。
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