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第8話 ゴブリンネスト

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ゴブリンって言ったら緑色で小鬼みたいで人間っぽくてキーキー言って臭ーい奴。

そんでー。
人里に来てー。
女の人さらって繁殖に使う?

なんか途中で盗賊かなんか混ざってないか?

確かゴブリンは異種交配が出来なかったような?

ゴブリンにも家族はいるし。

とはいえだからといって討伐して可哀想と言うわけではない.

こいつら人間をパクパク食べちゃうからね。

パエリのレベルアップの為に狩まくりだー。

村人からこの辺にゴブリンの巣があるって聞いて都合がいいと思ってやって来たんだけど。

「私ゴブリン嫌い、可愛くないし、臭いし。」

パエリがぐずぐず言っている。

どうせ狩るのはオレで何にもしないくせに、ってオレはいったいなんなんだろうか?

「お腹空いたー。」

「さっき食べたじゃないか。」

「育ち盛りなのー。」

仕方なくインベントリからパンを出す。

「またこれー。」

とか文句を言うのでいちごジャムを出してやるとおとなしく食べはじめた。

森の奥に小高い山があってふもとに洞窟がある。

入口には見張りのゴブリン?

人間じゃないか?

顔を緑色に塗っている。

盗賊がゴブリンの振りをしているってこと?

足元の石っころを魔力で加速してぶつけてやると2人の見張りのお腹に大きな穴が空いて倒れた。

ちょっと加減に失敗したけど盗賊だからいいか。

洞窟の中は松明があって明るい。

「臭ーい。」

パエリが文句を言う。

別に外で待っていてもよかったのにヤダって言ってついて来てそれか。

「静かに。」って言うけど手遅れか。

洞窟の奥の扉からわらわらと盗賊達が出て来る。

「なんだ子供と女がわざわざ自分で来たのか?」

ニヤニヤ笑っている。

まあ、盗賊でも経験値の足しにはなるかな。

鉄の剣をインベントリから出して手に持つ。

子供と侮って盗賊達がぎゃはぎゃはと笑う。

「子供がそんなもん出してどうするってんだ。」

そう言っている間にムールが剣を薙ぐとずらりと並んだ盗賊達の首がポロポロと落ちた。

ムールはもう関心がなくなったかのように盗賊に目もくれずに洞窟の奥の扉に踏み込んでいく。

「あーっ、首、首、首がー。ムール、これどうすんのよ。」

パエリが騒いでいる。

人の首が切られたのにこの程度の反応ってことはショック耐性のスキルが効いてんだな。

扉を開くとたくさんのゴブリンの死体と拐われて来られた女の人が縄で縛られて座らせられている。

カーンと甲高い音がしてムールが吹き飛ぶ。

一瞬パエリが硬直する。

ゴブリンの死体の中から一体起き上がったものがいる。

ゴブリンメイジだ。

捕らえられた女の人に気を取られたムールの隙を狙って攻撃魔法を撃ったのだ。

パエリはショックから立ち直ると剣を鞘走らせて抜き打ちにゴブリンメイジの首を刎ねてムールを抱き上げて揺さぶる。

「うそ、うそ、うそ。ムール死んじゃだめ。」

ぬいぐるみみたいにムールはパエリに振り回される。

「やーめてー。目が回るー。」

「ムール!」

「何泣いてんだよ。あのくらいじゃ死なないよ。」

体が軽いので防御障壁と一緒に吹き飛んだだけだ。

同時に重力操作もすれば良かったんだけど咄嗟には思いつかなかった。

力はあるけれど実際の戦闘経験が足りない。

そこはゲームと違うところだね。

「あ、レベルが上がった。」

パエリが言う。

パエリのメニュー画面を開いてステータスを見るとLv.1のまま。

他のステータスはすでに上級の冒険者並みなのにレベルが上がらない。変だな?

ステータスは変化するけどレベルが上がらないので新しいスキルが解放されない。
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