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第90話●サバト2
しおりを挟む「それで儀式って言うからには何か手順みたいなものがあるのか。」
マーリンがアルテラット神官長に聞く。
「そこまでは知らん、我々ソッペ・カヤ神教は部外者だったんだし。」
「なんだ知らないのか。じゃあどうしょうも無いじゃないか?」
「そう言うけど、どんどん集まってきているじゃないか?」
どうも魔女達にはぜーんぜん自覚がないみたいだ。
アルテラット神官長は呆れている。
「あんた達希代の魔女がこの1000年来のオールドマスターウィザードであるメルデギドの元に居る事自体が異常な事だってわかっていないのか?」
「しかもここにはスカイラガングランリロイリとジュスティラステスの2柱の神までいるのに。」
実際に、この世界中で隠遁生活をして研究ばっかりしていた魔女達がなんとなく頭をもたげて、流れ満ちてくる魔素のいつもと違う匂いに気を取られていた。
それはまるで申し合わせたかの様に同時に始まった。
ケルビムやセラフィムが降臨してくる。
「あれ?メルデギドってば。バーベキューはまだなの?おかしいわねー。」
この天使達は何を目的に降臨してくるんだ?
グローヴズ城ではネズミ達が落ち着かない様子でちゅーちゅー言っている。
「チェリ、ネズミ達は何を騒いでいるんだ?」
チェリ、ツッピ、テトの3匹の使い魔の抱き枕にされながらペトロニウスが言う。
「この世界に漂う魔素の性質が少し変わって来たのを感じているんじゃないかな?」
「あー、サバトが始まるのか。」
「あー、もうそんな時期になったんだ。」
チェリが言う。
「じゃ、出かける準備をしようか。」
ペトロが言う。
「でも、サバトっていったい何をするの?」
「なんだ、テト忘れちゃったのか?」
「何か起ころうとしている?」
カルナガリア王国の王都にあるヤルマル・ホルクネッラ教の教会。
今はエリミリア教会とも呼ばれる教会の神殿に隣接する居室でエリミリアが首を巡らせる。
エリミリアの周りには聖なる力が渦巻いている。
その濃度の高さの為に通常は見えないはずのものが形を成している。
「大聖女様いったい何が?」
侍女でさえも異変を感じている。
「なんだ?時期はずれもいいとこだろう。」
エルフの里では世界樹が身震いするようにして蠢くと花を咲かせ始めた。
「えーっ。この間咲いたところじゃん。またなの?いったい何があるって言うの?」
里長エタリスはさすがに2回目の開花となると不安を禁じえなかった。
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