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第86話●ファルコ・イエンツ2
しおりを挟むファルコ・イエンツはもっと讃えられてもいいのだけれど魔法師と言うのはどいつもこいつも勝手気ままなので研究、探究以外に全然関心がない。
「それでさー。どこかに魔法の痕跡が残っていないかと思って大陸中を探し回っていたのにさー。たまに帰って来たらー。ぽよんとそこに居るってなんなのかなー。んー、クロウラー。どーいうことー。」
「あー。いやー。そのー。ででででも師匠全然連絡が届かなかったしー。」
ファルコはギドを抱き上げて顔を覗き込む。
あ、まずい、とレテは思った。
「何?この子。かわいいじゃないの。」
「は、離しなさい。」
レテの魔力が一気に密度を上げる。
ファルコもそれを感じて一瞬で無数の魔法陣を構築する。
全くのタイムラグを無しにレテの魔法陣の構築と術の発動がなされる。
これだと魔法陣の無効化が出来ない。
5つの属性の魔法が一気に爆発する。
もちろんマジタリア魔法学園の設備がその程度の事で破損することはない。
そして誰も庇わなくてもこのぐらいの魔法に巻き込まれるような魔法師は学園にはいない。
むしろ学園の生徒達は天才レテルティアと魔術の開祖ファルコ・イエンツが使う魔法を研究の参考にしようとワクワクして見ている。
もちろんファルコ・イエンツの魔術は熟練し洗練されていて速度やパワーなど申し分ない。
だけどファルコ・イエンツは言う。
「あなたは凄いわね。さすがは天才って言われるだけのことはある。」
「あなたにとっては初見の魔術にも即座に対応するし、分析して模倣し改良してすぐに使う。」
「パワーも制御も申し分ないわ。あなたのような子に使ってもらえるなら私も魔術を作った甲斐があったわ。」
学園がなくなってしまうぐらいの花火大会をやっておいて呑気なもんだ。
さすがにマジタリア王都の一般市民の皆様は迷惑してらっしゃると思うぞ。
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