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第85話●ファルコ・イエンツ1
しおりを挟む「ギドってばまた女の子を見てる。」
レテはいつもそう言う。
違うよ。
マジタリア魔法学園の食堂に漂っている魔素の動きを見ているんだよ。
漂っている魔素は周囲の空気とは屈折率が違うのか、空気の温度による層の境目の様にその向こう側が歪んで見える。
かなり濃度の高い魔素が生徒たちに紛れて座っている女の子の周囲に漂っている。
そしてその子を包むように構築された魔法陣はまるで芸術作品の様に美しい。
「そうだよね、マスターにはわかってしまうよね。」
ギドがまばたきをした瞬間にその子は至近距離に迫って来る。
レテは障壁を張ろうとするが瞬時に敵意がないのを察して中止する。
「君もなかなか優秀だね。」
すぐそばまで来て見るとそれは性別も年齢もわからない捉えどころのない存在感の何か。
食堂の扉を開けてクロウラ学園長が入ってくる。
不思議なことにレテとギド以外の生徒達はその捉えどころのない存在感のものにもクロウラ学園長にも関心を持っていない。
認識阻害の領域が形成されているようだ。
「師匠、お久しぶりです。」
クロウラ学園長が言う。
「ああ、興味深い魔力紋があったので。」
「古代魔法だ。真の魔法が動かす独特の魔素の流れ、クロウラも感じるだろう。懐かしい魔法の匂いがする。」
どうして魔女って歳を取らないんだろう?
よく童話では老婆の魔女とか描かれているけれどそんなの絶対にいないし。
その存命していた年月で判断して老婆を描いたのだろう。
おそらく最後の魔女だったファルコ・イエンツ師匠は残念だけど古代魔法は全然使えない。
彼女が生まれた時、魔法は既に失われていたのだ。
それでも諦められなかった彼女は魔術を作り出した。
今この世界にある魔法と呼ばれているのは彼女が魔法にこがれて魔法を術式や理論で再現した魔術なのだ。
魔法が魔法師自身の血や存在によっていきなり結果を現出するのに対して、全てを術式と理論で創出する魔術は魔法よりもずっと複雑で微細な魔力の調整を必要とする。
決して魔法に劣るものではない。
言わば同じ結果を求める別物だ。
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