魔法大全 最強魔法師は無自覚

yahimoti

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第54話●パトリシア2

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第54話●パトリシア2

ここのところ毎日ギドがリビングのソファに座ったままジーっとしている。

時々窓の外に目を向けてはため息をついているように見える。

神様や天使達は全く気にせずにお茶を飲んだり、お菓子を食べたりしている。
この人達は運動不足で太るとか言う事はないのだろうか?

弟子団はギルドに出かけている。
別にノルマがあるわけではないんだけど、まだ子供なのでじっとしているのが我慢出来ない。

ギルドに行けば顔見知りの冒険者もいるし魔核や薬草の採集など何かしらすることがある。

ダンジョンに出かけたり、魔物の討伐に出かける冒険者にバフをかけてあげる事も出来る。

ルトラウデとレテは学園に行っている。

ここのところギドは話し掛けてもとても反応が薄い。

パトリシアが遠くへ嫁いで行ったことがこたえているのだろうか?

イサンドロ王女やエヴナマイナ王女にギドの事を相談するのだけど、男の子の事はいまいちわからないと言われてしまう。

ヴァシュが俺にも聞いてって顔をしていたので話しをすると

「姉ちゃんいないしな。」

ぐらいなので聞いて損した感じ。

「俺の扱い酷くない?俺これでもヴァイグル王国の王子なんよ。」

余計に残念な感じ。

孤児院に帰って見るとギドは出かけるときに見た様子と何も変わらない。

「お昼は食べたの?」

レテが言うとメイド仕様のゴーレムが「食べてましたよ。」
と言う。

だんだん無反応なギドに苛立ったレテがギドの頭をこづく。

ころりんと頭がとれた。

レテがぺたんと座り込んだ。
声も出ないほど驚いた。

「あれ。頭が。」

ギドがもう一人。

頭を拾って座っていたギドにくっつける。

まだ接着剤が固まっていなかったのかな?

レテがギドの胸ぐらを掴んで吊り上げる。

「なんなのよこれ。どういうつもり?」

「あ~、うー。」

「留守番人形?こんなものいつ使うって言うのよ。」

「魔道具の本に作り方が載っていたから作ってみた?」

「こんな紛らわしいもの没収よ。」

「そんな横暴なって?やかましい。」

レテが自分の部屋に持って行こうとすると何かが転移してくる気配が....。

「パパパパ、パトリシアお姉様。辺境伯のところに行かれたのでは?」

「そうよ、だから何かしら。」

転移魔法が使える魔法師に距離も時間も関係ない。

どこにいても会いたければすぐに会えるのだ。

しかもパトリシアの転移魔法にはマーキングの必要がない。

アカシックレコード用検索ツール「chantSNU」を転移魔法陣に繋げて対象を検索すれば直近の最適な場所に転移出来る。

すごいなぁ。
さすがは筆頭宮廷魔法師。
今までの魔法でも充分に使えるのにどんどんアップデートしていくんだね。

「レテ、あなた何を持っているの?」

レテはしどろもどろになっている。

「見せてごらんなさい。」

「あなたこんなものどうするつもりなの?私が没収します。」

あ、パトリシアがニヤって笑った。

かと思うと転移魔法でさっさと帰ってしまった。

レテの残念そうな顔。

また作ればいいんだよ。

「す、す、すぐに作りなさい。」

ギドはまた胸ぐらを掴んで吊り上げられてぷらんぷらんしている。
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