上 下
46 / 93

第46話●しっぽと耳 6テイヨ奪還作戦

しおりを挟む


「父上、バチが当たったんですよ。リネカー伯爵を強迫するなんて友達だったんじゃないんですか」

猫耳が生えたタパニが言う。

「貴族は弱味を見せてはならないし、チャンスは見逃してはならない。非道であっても強くなくては領民を豊かにする事は出来ない。」

ワンコの垂れ耳がついたキルポチへ伯爵は言う。

「リネカーは変人だが領地経営に長けている。ぼんやりしていたら我々の方が奴にひざまづかなくてはならない日がくる。そういうものだ。」

言葉とは裏腹にキルポチへ伯爵のしっぽは力なく垂れている。

「いったいどんな顔をしてテイヨに会えばいいのか?それどころか会う事もできないのか。」

タパニも強度のケモラーなせいかテイヨに一目惚れしてしまった。

実は今自分にも、けもみみとしっぽが出来てそれはそれで大喜びなのだ。


初めは自分達の家族、ご近所がこの異変に見舞われたのだと思われた。

まずは蔓延する差別主義者から隠さなければならないと思った。

これは獣人族のせいで彼らの呪いなのかとも考えられた。

静かに隠れてパニックは広がって行った。

その日ミルグラス王国全土の人々がその真実を知ることとなった。

王国の気象予報官が一部の地域では雨が降ると言っていたがこの予報は当たらなかった。

ただし全体に薄雲で全天は良いスクリーンになっていた。

ギドが大陸の気象を魔法で制御している。

なんでもありだね。

王国全土で見られるように各地でギドとレテの姿が投影された。

ギドって目立つの嫌いだったんじゃなかった?
どんだけ怒っているの?

でも話しをするのは私なのね。

「オールドマスターウィザード真正大魔法師のメルデギド様よ。マスターからの贈り物は気に入ってもらえたかしら?みんな可愛くなったでしょ。」

勝手にしっぽや耳をつけられた方はたまったもんじゃないわよね。

「マスターはケモラーなので最近この国で強くなって来ていた獣人族にたいする差別や弾圧、排斥が気に入らないので差別出来ない様にしました。」

「勝手にすんなー。」
とか
「私たちは関係ない。」
とか言っているけど。
差別された側は助けてでもしてくれなければみんな一緒に見えるよね。

「ちなみにこの魔法は強力なので簡単に消えないそうです。自分のしっぽと耳を存分に楽しんでねって言ってます。」

だって差別された獣人族もしっぽとか耳を無くすことなんて出来ないしね。

地上で文句を言っている者がいるようだけど、この放送は一方通行ですので苦情にはお答え出来ません。

ねえねえ、ギドってばー。
本当に魔法かけっぱなしで帰っちゃうの?

小さな子供とか全然関係ない人もいると思うよ。

え?かわいいでしょうって?
うーん?












しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?

火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…? 24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?

『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる

農民ヤズ―
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」 そんな言葉から始まった異世界召喚。 呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!? そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう! このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。 勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定 私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。 ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。 他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。 なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。

隠しスキルを手に入れた俺のうぬ惚れ人生

紅柄ねこ(Bengara Neko)
ファンタジー
【更新をやめております。外部URLの作品3章から読み直していただければ一応完結までお読みいただけます】 https://ncode.syosetu.com/n1436fa/ アウロス暦1280年、この世界は大きな二つの勢力に分かれこの後20年に渡る長き戦の時代へと移っていった リチャード=アウロス国王率いる王国騎士団、周辺の多種族を率いて大帝国を名乗っていた帝国軍 長き戦は、皇帝ジークフリードが崩御されたことにより決着がつき 後に帝国に組していた複数の種族がその種を絶やすことになっていった アウロス暦1400年、長き戦から100年の月日が流れ 世界はサルヴァン=アウロス国王に統治され、魔物達の闊歩するこの世界は複数のダンジョンと冒険者ギルドによって均衡が保たれていた

無能な神の寵児

鈴丸ネコ助
ファンタジー
全てが詰め込まれたダークファンタジー 無能という運命を努力により打ち砕く少年の物語 幼い頃に両親を亡くし、周囲から疎まれながら生きてきた主人公、僑國シノア。 ある日、クラスメイトと共に異世界へと召喚されてしまう。その世界はシノアたちの世界とはまるで異なり、科学の代わりに魔法が発達していた。 シノアたちを召喚した神官たちの話によると、長年続く戦争終結のためシノアたちを召喚したのだという。 ほかのクラスメイトたちが規格外の強さを有している中、シノアは何の能力も持たず無能の烙印を押されてしまう。 だが、彼らは知らなかった。 無能とは無限の可能性を秘めた最高の存在であることを。 ※第1章である異世界転生篇は説明回に近いです 週1回のペースで投稿しています 申し訳ありませんが、しばらくお休みを頂きたく存じます

異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~

宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。 転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。 良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。 例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。 けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。 同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。 彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!? ※小説家になろう様にも掲載しています。

転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。

克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります! 辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。

アイズwithスターダスト 〜神聖力(エーテル)に愛された神の継承者〜

優陽 yûhi
ファンタジー
3万もの騎士団を引き連れ、魔王軍討伐に出た勇者パーティは、為す術もなく蹂躙され壊滅寸前。そこに突如と現れ、1千もの魔族を涼しげな顔で殲滅する少年アルティス15歳。人であるにも拘わらず、神の力を宿し生まれ、5歳の時、創造神により神界に保護され育てられる。神界で神々の下で暮らし、磨かれたその力は、既に神の域すらも超えているのではと、創造神の下に集う12柱の神々は囁く。10年もの間行方不明とされていたアルティスは、討伐隊に参加していた元婚約者、王女フィオナとの衝撃の再会…いや、笑劇の再会を果たすのだった。 最終話まで書き終えました。 7月30日迄、全96話、毎日12時に予約投稿完了です。

欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します

ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!! カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。

処理中です...