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第46話●しっぽと耳 6テイヨ奪還作戦
しおりを挟む「父上、バチが当たったんですよ。リネカー伯爵を強迫するなんて友達だったんじゃないんですか」
猫耳が生えたタパニが言う。
「貴族は弱味を見せてはならないし、チャンスは見逃してはならない。非道であっても強くなくては領民を豊かにする事は出来ない。」
ワンコの垂れ耳がついたキルポチへ伯爵は言う。
「リネカーは変人だが領地経営に長けている。ぼんやりしていたら我々の方が奴にひざまづかなくてはならない日がくる。そういうものだ。」
言葉とは裏腹にキルポチへ伯爵のしっぽは力なく垂れている。
「いったいどんな顔をしてテイヨに会えばいいのか?それどころか会う事もできないのか。」
タパニも強度のケモラーなせいかテイヨに一目惚れしてしまった。
実は今自分にも、けもみみとしっぽが出来てそれはそれで大喜びなのだ。
初めは自分達の家族、ご近所がこの異変に見舞われたのだと思われた。
まずは蔓延する差別主義者から隠さなければならないと思った。
これは獣人族のせいで彼らの呪いなのかとも考えられた。
静かに隠れてパニックは広がって行った。
その日ミルグラス王国全土の人々がその真実を知ることとなった。
王国の気象予報官が一部の地域では雨が降ると言っていたがこの予報は当たらなかった。
ただし全体に薄雲で全天は良いスクリーンになっていた。
ギドが大陸の気象を魔法で制御している。
なんでもありだね。
王国全土で見られるように各地でギドとレテの姿が投影された。
ギドって目立つの嫌いだったんじゃなかった?
どんだけ怒っているの?
でも話しをするのは私なのね。
「オールドマスターウィザード真正大魔法師のメルデギド様よ。マスターからの贈り物は気に入ってもらえたかしら?みんな可愛くなったでしょ。」
勝手にしっぽや耳をつけられた方はたまったもんじゃないわよね。
「マスターはケモラーなので最近この国で強くなって来ていた獣人族にたいする差別や弾圧、排斥が気に入らないので差別出来ない様にしました。」
「勝手にすんなー。」
とか
「私たちは関係ない。」
とか言っているけど。
差別された側は助けてでもしてくれなければみんな一緒に見えるよね。
「ちなみにこの魔法は強力なので簡単に消えないそうです。自分のしっぽと耳を存分に楽しんでねって言ってます。」
だって差別された獣人族もしっぽとか耳を無くすことなんて出来ないしね。
地上で文句を言っている者がいるようだけど、この放送は一方通行ですので苦情にはお答え出来ません。
ねえねえ、ギドってばー。
本当に魔法かけっぱなしで帰っちゃうの?
小さな子供とか全然関係ない人もいると思うよ。
え?かわいいでしょうって?
うーん?
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