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第35話●魔国3
しおりを挟む魔法師団の面々が翌日の打ち上げプログラムのミーティングをしている。
こっちだけでなく先方の魔法もどう出てくるかを考慮しなくてはいけないから難しい。
展開した魔法の複雑さや派手さは必要かもしれない。
とか言っているけどそれって戦争なのかな?
「あんたがそう仕向けておいて何言ってんのよ。」
レテが言う。
ちょっと眠そう。
全部の魔法を解除してたから疲れたんだね。
「そう思うんなら少しは手伝ったらどうなのよ。ちょっと来なさい。」
そう言ってギドをつかまえると抱き枕にして眠ってしまった。
翌日は何やら双方の陣営にたくさんの露店が出されたり、場所取りの敷物が引かれていた。
どうやら近隣の村人や商人は花火大会だと思っているんじゃないかな?
魔法打ち上げ大会は3日続いた。
ギドは露店で買った焼きとうもろこしをレテはリンゴ飴を食べながら夜空に上げる魔法陣を見ては点数をつけたりして楽しんでいる。
「まさかこんなお祭りになってしまうとは私も想像できなかったわ。」
前世のとうもろこしの2倍はあるでかいとうもろこしの端から粒を下顎の歯を使ってポロポロときれいにはずして食べる。
ちゃんと粒が口の中で感じられるのがいい。
タレで手はベトベトだけど。
なんだかとうもろこしが重いし変な振動を感じる。
「面白いことをやってるではないか。」
とうもろこしの反対側を白い髪の子がかじっている。
「あ。」
『ジュ』様?
レテが言う。
「人族や魔族のやることにしてはまあまあ面白い。さてもっと面白くしてやろう。」
いきなり膨大な魔力が膨れ上がる。
シャボン玉の様に表面に無数の魔法陣をひらめかせて爆発的に拡大する魔力の表面を障壁魔法に身を包んだギドがすべる様に上空に舞い上がる。
レテは瞬時に魔法を展開して両陣営と村人達ギャラリーを障壁で包んで守る。
舞い上がったギドに『ジュ』が迫る。
ドーンと空中でぶつかり合う。砕けた魔法障壁がキラキラと雪の様に舞って美しい。
ギドは空中をくるくると回転して飛ばされながら地表から立ち上がって来る先端の尖った氷の柱をかわす。
じゃあ星を降らせてやろうかな。
空から無数の流星を降らせる。
メテオのようだが降らせているのは高温の光の塊だ。
まともに使えば大陸が変形する。
やっぱり見た目の派手な光属性か火属性の魔法の方がいいかな?
『ジュ』がギドに迫る。
障壁がぶつかり合って線香花火の様な火花がバチバチと飛び散る。
『ジュ』がギドをドリブルする様に弾く。
ギドがピンポン玉の様に弾き飛ばされる。
弾かれるたびに派手に稲妻を走らせる。
沸き立った地面に氷の柱を細かく砕いて降らせると水蒸気が一帯を煙らせる。
その水蒸気をスクリーンにして2体の龍が舞うシルエットを投影する。
「あはは。面白いぞ、メルデギド。おまえの命がかかっているのにその余裕はなんだ?」
「おまえにとっては魔法もこの世界もおもちゃの様なものか?」
「うはははは。愉快だ、気にいったまた遊んでやろう。」
天頂を巨大な光の輪が覆う。
「タマヤー。」
「カギヤー。」
とギャラリーの村人から声が上がる。
一瞬視界を失うほどの強力な光が放たれると夕闇に包まれる。
『ジュ』はもういない。
レテの横でいつの間にか使徒が串焼き肉を食べている。
「『ジュ』様は何がしたいのかしら?」
「神のすることなんか人間にはわからないね。」
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