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第41話●ボアでバーベキュー
しおりを挟む落ちて来た天使と言っても堕天使と言うわけじゃない。
どちらかと言えばプリンに釣られて落ちて来た駄天使って感じかな。
決まりが悪いのかツンツンしていてちょっとかわいい。
いつの間にか孤児院に居着いてしまった。
まあ、王都のはずれにはあるけれどここも教会なんだから神様や天使がいても全然良いんだけど。
王都の中央にある大聖堂よりも神々しく輝いているっていうのは都合が悪いんじゃないだろうか?
引き寄せられる様に病いや、体に損傷のある人達が教会に近づくだけで癒されてしまったり、シミが落ちたり、毛が生えたり。シワも伸びる?
とりあえずなんでも治っちゃう。
さすがは聖なる奇跡の力だね。
そんな外の騒ぎとは隔絶して孤児院の広間ではギドをはじめとして弟子団や天使達がだらーっとしてゴロゴロしている。
「あんた達ダラダラして、なんかすることはないの?」
レテが言うけど。
ちょっと前までレテだって同じ様にゴロゴロしていたんだ。
まあ、天使達や神様はいいとして僕達はギルドにでも行ってみようかな。
パーシコ はひょいと立ち上がる。
すると弟子団のみんながシンクロするように立ち上がった。
とりあえず充電完了って事?
ギルドのそばまでは転移魔法で移動する。
ジュ様や天使達までついてくるのはなんでだろう。
ギルドが神々しく輝いてしまう。
「そっちにボアがいるよ。」
「いっぱいいるね。」
ボアが大量発生していて畑を荒らすので駆除を頼まれた。
美味しいお肉をドロップするので暇潰しにいい。
魔法初心者の子の練習にもなる。
森と畑の間に雑木林があったり、薬草の群生地があったりする。
神様や天使達は子供達の様子を見ていて時々気まぐれにボアの足止めをして手伝ったりする。
多分、日頃そんな事は絶対しないだろうから遊んでいるんだろう。
珍しくマスターやレテルティアが来ている。
マスターが石を組んでいるからバーベキューでもするんだろうか?
それにしてもボアが大量にいる。
ボア単体のスタンピードか?
子供たちがひとしきりボアを追い回して飽きて来た頃を見計らってマスターが広域のサンダーを放つ。
周辺がパッとひかってボアがバタバタと倒れた。
お肉や牙などのドロップアイテムを残してポンポンと光の粒になって消えていく。
ギルドへの報告はカードに記録されているので食べちゃっても問題なし。
「そのレッドソルトって言うのをちょうだい。」
「この醤油ダレでも美味しいね。」
いっぱいあるボアのお肉でバーベキュー大会になった。
神様もお肉食べるんだ。
ギドがジュを見て考えていると。
「本当は何にも食べなくても全然問題ない。でも味覚はあるから娯楽みたいなもんかな?天使達も同じじゃろう。」
と答えてくれる。
ジュスティラステスはこの世界の創生に関わった神の1人。
アカシックレコードの具現化だと言うこの天使達とは世界観が違う。
そうは言っても魔物や神獣もいろいろごっちゃに登場するから気にしても仕方がないのかもしれない。
石を積んだコンロに持続型ファイアボールを入れて網を乗せてドロップしたお肉に塩胡椒をかけて焼くだけなんだけど結構美味しい。
「いつもだけど、どうして私達を置いて行って面白いことするかなー。」
空中に浮かんだ状態で腕組みをしてイサンドロが言う。
エグナマイナとヴァシュも同じくうなづいている。
ルトラウデもピコを抱えてうんうんとうなづいている。
ええと、良くここがわかったね。
「なんでここがわかったのよ。」
レテが言う。
「そんなのあんただって出来るでしょう?探索魔法よ。メルデギドにはマーキングしてあるし。」
イサンドロが当たり前のように言う。
「なにを勝手にマーキングしてんのよ。」
「あら、あんたのマーキングだってあるじゃない。あんたはメルデギドに言ったの?」
ふふんと鼻で笑う。
レテのマーキングはわかっていたけどイサンドロはそのレテのマーキングで上手にマスキングして隠蔽してあった。
なかなかやるね。
ルトラウデとピコは既に黙々とお肉を食べている。
ところでこの子たちは誰?
コンロの前に陣取った3人の猫しっぽと耳のついた獣人族の子供。
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