魔法大全 最強魔法師は無自覚

第39話●メルデギド弟子団2

食後のまったりとした時間になると弟子達はギドの周りに集まってゴロゴロしている。

これはギドの魔力を魔胞に取り込んでいる状態。
浸透圧と同じで高い濃度のところから薄い濃度の方に入って行く。

そして限界を超えると徐々に魔胞はそのキャパシティを大きくしていくんだ。

だからギドの近くでゴロゴロしているだけで修行になる。

とこで不思議なのはギド自身は魔胞が持てるようになるまでに150年かかったのに子供達はすぐに持つことが出来たのは何故か？

ギドは完全に独学だったし魔胞の作り方や体内に生成するための術式を作る必要があったからだ。
インストーラーみたいなものだね。

形勢される魔胞の大きさに大小はあるけどとりあえずは誰にでも出来るようになった。

ものすごく大変な事なんだけど出来てしまった事なのでギドにとってはもうあまり価値が感じられないようだ。

ギドは弟子団を作るつもりで孤児達に魔法を教えたわけではない。

周りに子供達がいてそれぞれが1人立ちする時の力として足しになればいいぐらいにしか考えていなかったし、と言って手の届く範囲以外の事までなんとかすると言う考えもない。

元々引きこもりだし、魔法以外には関心がないのだからその力を使って何かしなければならないとは考えていない。

社会貢献については既に魔法大全を翻訳して公開しているのだからもういいかな？ぐらい。

そうは言っても力を与えられた子供達が恩に感じたり使命感を持ったりするのは勝手だ。

「こらーっ、いつまでゴロゴロしてんのよー。なんかしなさい。」

レテが急に怒り出す。
自分だって今までギドにくっついてうとうとしてたじゃないか？

「何？パーシコ、文句があるのかしら。」

パーシコはビュンビュン首を左右にふる。

「え、えーっと、今日は依頼がないのでー。」

「何にもなければ薬草採集にでも行けば？」

絶対、ギドと2人っきりになろうとして僕らを追い払うつもりなんだ。

2人っきりになったってギドはボーっとしているだけで何にも変わらないのにってそれもレテが可哀想なんだけど。

仕方なく僕達は草原に薬草採集に来た。

採集した薬草でシスターがポーションをつくってギルドに収めている。

ミカエカペ財団やランツァウ侯爵家からの寄附があるので別にお金に困っているわけではない。

少しでも働き、自身での収入を持つことは孤児院としての独立性を維持するために必要だとシスター達が考えているからだ。

大聖女エリミリアの属するヤルマル・ホルクネッラ教は他の権威に干渉されない独立した教会である事を望んでいる。

子供達は草原で大人しく薬草だけ採集しているわけではない。

草原のあちらこちらで子供達のグループがボアや角うさぎ、オークなどを片っ端から狩る。

様々な魔法が練習がてら飛び交っている。

「お肉でたー。」「こっちもー。」

と、魔石や武器、装飾品などのドロップよりもお肉の方が人気がある。

「何ぐずぐずしてんのよ、そっちにボアが行ったわよ。」

「あれ？なんでレテがここに？」

「パトリシアが来たのよ。」