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第34話●魔国2
しおりを挟む「良い湯ね。」
今更だが混浴だ。
レテはギドを膝に乗せて温泉に浸かっている。
いくらなんでもそれはどーなん?
「あー。」
「だってギドあんた足が届かないじゃない。溺れちゃうわよ。」
この年頃だと女の子の方が成長が早いので男の子の方が小さかったりするとはいえそこまで小さくないぞ。
魔族にしても、獣人族も多分人化している魔獣もみんな平気ですっぽんぽんだ。
「そんな事気にするのは人族ぐらいなもんだ。」
スウェルが笑っている。
露天の岩風呂で湯気は上がっているが空を埋め尽くす程の星の数。
そして決定的に違う2つの並んだ月。
レテの横顔が照らされている。
こうしていると綺麗なんだけどなー。
「なに?なにみてるのエッチ。」
レテに放り投げられた。
あ、あれ本当に足がつかない。
お、溺れちゃう。
「なんでこう言う時に魔法を使わないのよ。」
そう言って拾い上げられた。
「うー。」
翌朝から前線に出かける。
本来なら人間サイドの陣営に居ると思われるだろうけどオールドマスターウィザードの場合はそんな事関係ない。
勇者がいたら戦争していたらその理由によらずどちらも叩き潰して終わり。
勇者は侵略だとか戦争を許さない。
今はかなり以前に勇者がいなくなったと思われていて再召喚には条件が整っていない。
それをいい事に各国は恐る恐る戦争っぽい事を始めたところだ。
他の種族はともかく人族は戦うのが大好きな様だ。
アーシェルの説明では、勇者の存在が消えてからコスタドガル帝国が中心になって周囲の属国などと連合を組んで国境付近の鉱山を狙って進軍して来たという事だ。
もちろん魔国も黙っているわけにはいかない。
人族の方では魔族が大陸の征服を企んでいるとか言って騒いでいるけれど、これは帝国のプロパガンダだって言うのは既に王国などでは知られている。
だいたいアーシェルも王国にいる大聖女も勇者の奥さんだし。
他のパーティメンバーにもみんな勇者の子がいるらしいけど。
勇者なにしてんだ?
前線はなんとか国境まで押し返したあたりで硬直している。
それぞれの軍が距離を空けて対峙している状態だ。
双方約4万人の軍勢ってところかな?
それだと獣人族や魔獣の部隊がある魔王軍のほうが分がいい。
各個体の能力は人族の比じゃないからね。
まどろっこしいぞ。
やる気あるんか?
景気付けに帝級範囲魔法でもぶちかましてやれってのは不謹慎かな。
「あら、結構強力な魔法を打ち上げて来たわ。」
レテが呑気な声をあげる。
練度も高いし魔力も強い、まともに喰らったら街がひとつ消えてしまうね。
「でも構造が単純でひねりがないわ。」
そう言って展開していた魔法陣に干渉して不発にしてしまう。
「こっちからももう少しひねりを入れたのを打ち上げてやんなさいよ。」
レテの周りにいた魔族魔法師団の面々が戸惑っている。
「じゃあ、じゃあ、こんなのはどうかな。」
魔法師団の1人が広範囲魔法を打ち上げた。
うーむちょっと凝ったね。
対角異種複合魔法か、これは防ぎにくいよ普通。
ほらほら、向こうで悲鳴が上がっているよ。
じゃ、80点ね。
そう言って空に点数を表示して魔法を解除する。
魔法師団の子はうおーとか言って盛り上がっている。
すぐに向こうも3次元多重混合魔法と言う凝ったのを打ち上げる。
うーむこれもなかなか良い、85点。
点数を見て向こうの陣営からも歓声が上がる。
おーっ、面白くなって来た。
その日は夕刻まで双方で魔法を打ち上げた。
魔力切れになったので打ち止めにして翌日再開することとした。
近隣の村人などから翌日は夕刻から始めて欲しいと言う要望があった。
確かにちょっと暗い方が魔法陣が良く見えるかも。
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